若い皆さん、オーケストラを聴きましょう。
今夜から、20世紀前半の代表的なシンフォニスト、
北欧の巨匠=シベリウスの交響曲を探訪しましょう。

ジャン・シベリウス(1865~1957)は、
北欧のフィンランドが生んだ偉大な作曲家です。
2015が生誕150年にあたりました。
特に、交響曲と交響詩の分野で
偉大な功績を残しています。

ベートーヴェン以降の交響曲作曲家=シンフォニストの中で、
"その全曲が今日のレパートリーとして
確固たる地位を築いている"となると、
その存在は限られてきます。

シューベルト、メンデルスゾーン、チャイコフスキー、
ドヴォルザーク(ドヴォジャ-ク)の交響曲には、
今日ではほとんど演奏されないものが含まれます。
ブルックナーにしても、
第1番と第2番は滅多に演奏されません。

ベートーヴェンの9曲、
シューマンの4曲、ブラームスの4曲、
マーラーの10(11)曲、そしてこのシベリウスの7(8)曲は、
偉大なる特別な存在ということができるでしょう。

カンタータ風の<クレルヴォ交響曲>、
数々の交響詩、<フィンランディア>、<エン・サガ>、
<4つの伝説>(<トゥオネラの白鳥>等の4曲から成る)
などをものしていたシベリウスは、30歳代半ばにして、
絶対音楽領域の交響曲の作曲に立ち向かい始めました。

その最初となった<交響曲第1番>は、
1898年から1899年にかけて作曲され、
自身の指揮でヘルシンキで初演されています。

###シベリウス<交響曲第1番>ホ短調 作品39###

[第1楽章]
序奏を持つソナタ形式による冒頭楽章です。
聴き手を惹きつけるテーマと音楽性を持っています。
この楽章を聴いたたけでも、この作曲家の非凡さが判ります。

[第2楽章]
複合三部形式による緩徐楽章と見てよいでしょう。
主部にも複数の数台があり、フーガ的発展を盛り込むなど、
かなり有機的な書法が展開されている含蓄有る楽章です。

[第3楽章]
スケルツォ楽章です。シベリウスの<交響曲1番>と
<交響曲第2番>のスケルツォは、
交響曲の歴史全体を見渡しても、
スケルツォらしいスケルツォと言えるでしょう。

[第4楽章]
序奏を持つソナタ形式による堂々たる終楽章です。
第1楽章から一貫する若々しいテーマによる楽想が、
時に北欧風の寂寥感も漂わせながらも、
若々しく肯定的に前進する場面も多く、聴き応え充分です。

交響詩等の作曲によって充分に地力を養った上で、
堂々たる第1番を発表したという点においては、
ブラームスの<交響曲第1番>に似たケースと言えるでしょう。

♪シベリウス「交響曲第1番&第4番」CD♪
BIS/CD-861 オスモ・ヴァンスカ指揮/ラハティ交響楽団
シベリウス/交響曲第4番/ヴァンスカ盤


私の仕事場には、ネーメ・ヤルヴィ指揮 / エーテボリ交響楽団と
オスモ・ヴァンスカ指揮 / ラハティ交響楽団の両全曲盤CDが
ありますが、更にお勧めの録音を挙げるとすると、
ジョン・バルビローリ指揮 / ハレ管弦楽団盤を
挙げておきましょうか。

YouTube / シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 Op.7 
     バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団
     1957年12月30~31日録音


この曲が発表された当時、フィンランドは
ロシアの圧政に苦しめられていた時代でした。
シベリウスがこの後、更に交響曲を書き進めていく
20世紀前半という時代のヨーロッパは、
先ず第1次世界大戦に晒され、
更に第2次世界大戦にもに突入していきました。
時代の激流の中で、フィンランドも翻弄されます。
そういった厳しい時代を生き抜いたシベリウスの
交響曲を、これから番号順(時代順)に辿っていきましょう。