私が作曲家を夢見て勉強を始めた頃、
当時お世話になっていた恩師の勧めもあって、
小学生ながらNHK交響楽団の定期会員になって、
毎月オーケストラの生演奏を聴くようになりました。

やっとベートーヴェンの交響曲に興味を
持つようになった位の当時の私に、
鮮烈な印象をもたらしてくれた公演がありました。
当時のN響では、毎月3種類のプログラムを
「Aチクルス」「Bチクルス」「Cチクルス」
と呼称していましたが、そのそれぞれのメインに、
レスピーギという聞き馴れない名前の作曲家の
「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭」という
タイトルの交響詩が並んでいたことがあったのです。
私は「ローマの松」の公演を聴きに、
当時は落成してまだ間も無い
NHKホールに行った記憶があります。
指揮は、当時の若手新進=秋山和慶氏でした。

色彩的なオーケストレーションによって繰り広げられる
いかにもイタリアを感じさせる音楽、
ピアノやオルガン等が効果的な編入楽器の活用、
そして、客席後方からの金管(バンダ)が加わり
ゴージャスなサウンドが興奮をかき立てる「アッピア街道の松」
・・・私はすっかり魅了されました。

それから約30年を経て、マエストロ・秋山和慶と、
その「ローマの松」でご一緒することになろうとは、
縁とは不思議なものです。

洗足学園音楽大学で、"アンサンブル・ヌーボー" という
全く新しいオーケストラを創設してその企画運営を担当
することになって2年目の2005年に、
そのバンドに秋山和慶先生(洗足学園音楽大学芸術監督)
に客演していただく機会を得たのです。
私は、バンドの特性も勘案しつつ、しかし迷わずに、
メインを「ローマの松」に決めたのでした。
秋山先生の厳しくも暖かな薫陶によって、
まだ駆け出しのバンドから、
量感たっぷりのサウンドが引き出されました。
その公演をきっかけとして、
秋山先生には毎年6月に客演していただけることのなり、
毎年恒例の「スペシャル・ライヴ」=「特別演奏会」として、
2013年まで連続開催されました。

2007年と2011年には、
秋山先生に「ローマの祭」を指揮していただきました。

###名曲紹介:レスピーギ/ローマ三部作###

交響詩「ローマの噴水」
1914~16年作曲 17年ローマで初演
Ⅰ 夜明けのジュリアの谷の噴水
Ⅱ 朝のトリトン
Ⅲ 昼のトレヴィの噴水
Ⅳ 黄昏のメディチ荘の噴水

交響詩「ローマの松」
1924年作曲 同年ローマで初演
Ⅰ ボルゲーゼ荘の松
Ⅱ カタコンブ付近の松
Ⅲ ジャニコロの松
Ⅳ アッピア街道の松

交響詩「ローマの祭」
1928年作曲 29年ニューヨークで初演
Ⅰ チルチェンチス
Ⅱ 五十年祭
Ⅲ 十月祭
Ⅳ 主顕祭

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3作品合計で60~70分という演奏時間なので、
3曲カップリングのCDが、多種多様な指揮者と
オーケストラの組み合わせでリリースされています。
日本の演奏家によるCDもなかなかの聴き応えですよ!

♪秋山和慶&広島交響楽団 版
 ブレーン・ミュージック / OSBR-17020 
♪広上淳一&日本フィルハーモニー交響楽団 版
 ポニーキャニオン / POCL-00140
この2枚が、現在の私の愛聴版です。



写真は、コロッセオ(円形劇場)等のローマの風景です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ローマ・円形劇場

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