R・シュトラウスの交響詩及び標題交響曲を探訪を
今日から再掲載していきましょう。

最初は、1888年に完成された交響詩『ドン・ファン』です。
私の想い出としては、1994年の東京フィルハーモニー交響楽団
のヨーロッパ演奏旅行に同行した際に、
大野和士氏の指揮による演奏でこの作品を何度も聴いたことが、
最も強く脳裏に刻まれています。

もう絶版になっているかもしれませんが、下記のCDに、
その時の演奏(ライヴ録音)を聴くことができます。

## '94年 東京フィル ヨーロッパ演奏旅行ライヴー vol.1 ##
       (ミュンヘン&ロンドン)
  ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
  ファリャ/舞踊組曲「三角帽子」第2部
  松尾祐孝/フォノスフェール第1番~尺八と管弦楽の為に~
  ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲
   指揮=大野和士
   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団
   尺八=三橋貴風
  ナミ・レコード / LIVE NOTES / WWCC-7262

東京フィル欧州楽旅1994CD1

## '94年 東京フィル ヨーロッパ演奏旅行ライヴー vol.2 ##
          (カーディフ)
  R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
  R.コルサコフ/交響組曲「シェヘラザード」
   指揮=大野和士
   管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団
   ヴァイオリン独奏=荒井英治
  ナミ・レコード / LIVE NOTES / WWCC-7263

東京フィル欧州楽旅1994CD2


この作品は、作曲家自身の指揮による
ヴァイマールの宮廷オーケストラの演奏によって
1889年に初演されています。
以後、世界のオーケストラのレパートリーにすっかり定着して
今でも多くの音楽ファンに愛好されている名曲となっています。
演奏時間17~18分という手頃なサイズも丁度良いのでしょうか。

音楽は、冒頭のパッセージからいきなりヴォルテージを上げて、
興奮の坩堝へと聴き手を誘います。
様々な主題が次々と現れるという観点からは
ロンド形式の性格を持ちますが、
全体の構成を分析すると、概ねソナタ形式を
骨格としていることが判ってきます。
再現部の相当する部分から終結部にかけて、
壮大なクライマックスが創出されますが、
やがて壮絶な炉夫カタストロフとなって崩れ落ち静止し、
ドン・ファンの悲劇的で突然の死を暗示されます。

R.シュトラウスは、交響曲と多楽章ソナタの歴史の延長上に
身を置きながらも、その構成を活用しつつ、
標題からのインスピレーションを単一楽章に凝縮して
交響詩を作曲するという道を選択したということでしょう。
この作品の後、次第に規模を拡大させながら、
交響詩の傑作を多数発表していきます。

YouTube / テンシュテット指揮:R.シュトラウス:
      交響詩「ドンファン」(1988年ライヴ)