ドヴォジャークの交響曲の探訪を続けています。
今日は、この作曲家の交響曲の中で最初に出版された
作品であったための、当初は「交響曲第1番」と
呼ばれていた、現「交響曲第6番」を取り上げます。

ドヴォジャークの交響曲については、
特に第1番から第6番辺りまでは、
自身が尊敬していたブラームスや、
その他ワーグナー等、やや先輩にあたる大作曲家の作品
からの影響が大きいと言われることが多々あります。
しかし、そのような指摘は、他の作曲家にも
大なり小なり当てはまることなのではないでしょうか。

この「第6番」は、ブラームスの「交響曲第2番」との
共通性を感じ取ることができると思いますが、
だからと言ってこの作品の価値が下がる訳ではありません。
私個人としては、「第8番」や「第9番」ばかりでなく、
この「第6番」や「第7番」、そして「第3番」辺りも
もっと演奏機会に恵まれて良い名曲だと考えています。

1875年作曲「第5番」から5年後、1880年に
この「第6番」は作曲され、翌年に初演されました。
この頃からようやく、ドヴォジャークは交響曲の作曲家
としても認められるようになっていきました。
楽譜の出版は、この「第6番」が最初でした。

私の仕事場のライブラリーには、このCDが在ります。

ドヴォジャーク/交響曲第6番&序曲《わが家》
 ラファエル・クーベリック指揮
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 バイエルン放送交響楽団
 グラモフォン / UCCG-4975
ドヴォジャーク交響曲第6番

<交響曲第6番 ニ長調 作品60 / B.112>
 1880年作曲 / 1881年初演@プラハ

[第1楽章]
ボヘミアの明るい田園風景を思わせるような
歓びや幸福感に溢れた楽章になっています。
構成は、提示部繰り返し記号を持つソナタ形式です。
習作期の「第1番」「第2番」から
成長期の「第3番」「第4番」「第5番」を経て、
遂に個性とスケールが高度にマッチした作品が
遂に誕生したことを印象づけてくれる楽章です。

[第2楽章]
夜想曲のような抒情性を湛えた主部と、
ダイナミックで情熱的な間奏曲のような中間部
による(複合)三部形式による緩徐楽章です。

[第3楽章]
チェコの伝統的舞曲=フリアントによる主部と、
田園情緒を感じさせてくれるトリオの対照が、
まるで「スラヴ舞曲」のような印象をもたらしてくれる
スケルツォ楽章になっています。

[第4楽章]
第1楽章以上に、ブラームス「交響曲第2番」の楽想に
一脈通じるところが多い終楽章です。
ソナタ形式による堂々たるフィナーレですが、
終結部ではテンポを上げて、熱狂的な結尾を迎えます。

YouTube / スウィトナーのドヴォルザーク交響曲第6番


ドヴォジャークは、この「第6番」から、
シンフォニスト(交響曲作曲家)としての
確固たる地位を築いていくことになったのでした。