邦楽器作品の創作と邦楽器演奏界の更なる振興を
ライフワークの柱に据えている私です。
このところ、自作邦楽器作品の紹介を続けています。

##<波唄~亀山社中幻想~>(琵琶独奏の為に)##

2009年 田原順子委嘱作品 演奏時間:9'~10'

初演:2009年7月23日 / 門仲天井ホール
   ~弾き・語り・琵琶~田原順子

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アメリカでの<ミュージック・フロム・ジャパン2007>
のために、<琵琶悠遊>を作曲する機会を得て以来、
琵琶という楽器にすっかり魅了された私は、以後、
<悠久の書>~琵琶と弦楽の為に(2008)、
<CONTRASTRINGS No.2>
~琵琶とヴァイオリンの為に~(2008)
を発表しました。
そしていよいよ、独奏曲を作曲しようと考えていたところ、
上記の作品の全ての初演でお世話になっていた田原順子さん
が、リサイタルで弾いてくださるということになり、
2009年春に作曲を進めたのでした。

2009年は、NHK大河ドラマの翌年の予告が
福山雅治主演の「竜馬伝」であったり、
司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」が、
遂にNHKスペシャルドラマとして空前の規模で撮影が
開始される等、幕末から明治期にかけての歴史に
社会の注目が集まっていた時期でした。

私は、田原さんからお借りしている琵琶をつま弾きながら
(決してまともに演奏はできませんが・・・)、
その音色の魅力に浸っていると、
やがて、波のような海のようなイメージが
脳裏に沸き起こってきたのです。そのような次第から、
<波唄>というタイトルが決まりました。
そして、幕末期に世界と交易を拡げる
カンパニー(株式会社)である「亀山社中」を
創立した坂本龍馬の心意気に思いを馳せながら、
筆を進めていきました。
副題の<亀山社中幻想>に、その思いが込められています。

技巧を凝らして聴き手を圧倒するような
タイプの作品ではなく、波間にたゆたうような
おおらかな音楽が誕生しました。
上記の初演以来、田原さんやそのお弟子さん達に、
折々演奏していただいている作品です。


写真は、長崎の亀山社中跡に佇む石碑です。
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-亀山社中後の石碑