「火の鳥」の大成功によって、一躍クラシック音楽界の、
そしてパリの社交界のスターとなったストラヴィンスキーは、
その素質・才能を見出した天才的興行師=ディアギレフとの
協働を更に続けていきます。

そして、三大バレエの第2弾、「ペトルーシュカ」を発表します。
バレエ・リュッス(ロシアバレエ団)によって
パリ・シャトレ座で初演されましたが、
「火の鳥」から僅かの間に長足の進展を遂げた
複調やドビュッシーの確立した作曲技法に通じる進歩的な書法から
生み出される新しい音楽の響きに、保守的な聴衆やオーケストラは、
少なからず拒絶反応も示したようです。

しかし、この作品の持つ大らかな音楽と
まばゆいばかりのオーケストレーションは、
正に“天才の煌めき”というに相応しいものであると
私は確信しています。

物語は、サーカス小屋の人形達が主人公で、
命を吹き込まれて、恋をし、悩み、決闘まで起し、
カーニヴァルが大騒ぎになったところで魂が抜かれて、
もとの静けさに返っていくというような寓話になっています。
ストーリー本筋に関係ないカーニヴァルの出し物(行進)の
場面が華やかなステージを繰り広げる第4場が、
バレエの華やかさを表出しつつも、
どこかドライな印象が漂うステージになります。

<第1場:謝肉祭の市>
#導入 - 群集
#人形使いの見世物小屋
#ロシアの踊り
<第2場:ペトルーシュカの部屋>
#ペトルーシュカの部屋
<第3場:ムーア人の部屋>
#ムーア人の部屋
#バレリーナの踊り
#ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り)
<第4場:謝肉祭の市(夕景) >
#乳母の踊り
#熊を連れた農夫の踊り
#行商人と二人のジプシー娘
#馭者と馬丁たちの踊り
#仮装した人々
#格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)
#終景:ペトルーシュカの死
#警官と人形使い
#ペトルーシュカの亡霊

3管編成で演奏できる1947年版も魅力がありますが、
やはり4管編成を必要とする原典版を聴くことをお勧めします。

私の仕事場に在る愛聴版(CD)です。
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」&「春の祭典」
ピエール・ブーレーズ指揮/クリーヴランド管弦楽団
グラモフォン/435 769ー2
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-「ペトルーシュカ」&「春の祭典」ブーレーズ盤

嘗ての名盤LP,ブーレーズ&ニューヨーク・フィル盤です。
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)
ピエール・ブーレーズ指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック
CBS-SONY / SOCL-1015
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ペトルーシュカLPブーレーズ盤