音楽家・作曲家への道のり第一歩は、
まず、音楽通・音楽愛好家になることです。
好きで好きでたまらない音楽を聴き抜いて、調べ抜いて、
楽しみ尽くす心をなくして、プロにはなれません。

私は、折りに触れて、現代音楽の作曲家の仲間や知人と、
一献ご一緒することがあります。時には、
古今東西の作曲家の書いた「交響曲第#番」の中で、
最高傑作はどれだろうか・・・といった話題で、
何時間も話が尽きないこともあります。

何だかマニアックだなあと思われるかもしれまえんが、
考えてみれば、車の話題、スポーツの話題、歴史の話題、
建築の話題、鉄道の話題、等々
好事家が集まっての談義がそれぞれにマニアックな訳です。

では、あらためて皆さんにも話題を提起しましょう!
「貴方の交響曲第6番ベスト・ワンは誰の作品ですか?」
マニアックな答えがある方は、
是非メッセージをお寄せください。

ご参考までに、私なりの考察を披露しておきましょう。

ベートーヴェンの第6番「田園」は、
いきなり有力候補の登場といった感があります。
あの第5番と同じ演奏会で初演された名曲です。
その第5番と同様に動機労作を徹底させた部分も
ありますが、全体の印象は柔らかで、
同時期のベートーベンの硬軟両面が、
この2曲から感じられます。

シューベルトの第6番は、
日本では滅多に演奏されませんが、
ヨーロッパでは地方都市の小規模なオーケストラ等で、
結構演奏されているようです。

チャイコフスキーの第6番「悲愴」は、
最有力候補の一つでしょうか。
所謂3大交響曲(4~6番)の最後を飾る作品ですが、
特異な構成と独特音楽性で群を抜く独創性を湛えています。
名指揮者=レナード・バーンスタインが晩年に収録した
CDの超弩級の演奏を聴くと(何しろ演奏時間が58分!)
後期ロマン派作品として認識すべき
大作であることが判ります。

ブルックナーの第6番は、第5・7・8番の陰に隠れて
あまり演奏されない作品ですが、ブルックナーらしい
構造と風格を讃えている音楽です。

マーラーの第6番「悲劇的」は、この作曲家の
交響曲の中では最も古典的な佇まいを持っていますが、
一方ではオーケストラーション等に
革新的な野心も見え隠れする重要な作品で、
「マーラーの英雄の生涯」といった趣があります。
作曲家仲間には既に知られていますが、
私が特に大好きな作品です。

シベリウスの第6番は、この作曲家のファンの中では
かなり評価の高い作品です。第2番以来
久しぶりに標準的な4楽章構成を採っていますが、
燻し銀の風格を讃えた独自の音楽が魅力です。

ニールセンの第6番「素朴な交響曲」は、
日本では滅多に演奏されませんが、
北欧の交響曲の名曲のひとつです。

ヴォーン・ウィリアムズの第6番は、
この作曲家独特の、そしてイギリスの風土独特の雰囲気が
静かに染み入るように拡がっていく作品ですが、
演奏時間の約1/3を占める終楽章(全4楽章)が
弱奏による穏やかな音楽で一環しているところが、
特に際立っています。
残念ながら日本で実演に接した経験はありませんが。

ショスタコーヴィチの第6番は、
以前はムラヴィンスキーの来日公演等も含めて
結構演奏されていたのですが、
最近は後期の大作が演奏されるようになったせいか、
ほとんど聴かれなくなってしましました。
ソナタ形式冒頭楽章を欠いた3楽章のような趣の3楽章で、
次第にヴォルテージを上げていく構成が、
とてもユニークな佳品です。

さて、そして私の第6番ベストワンは・・・
マーラーの交響曲第6番「悲劇的」です。
ショルティ盤、バーンスタイン盤、バルビローリ盤、
ラトル盤、インバル盤等、聴きまくりました。

写真は、ショルティ盤です。
最盛期のシカゴ響の金管の彷徨と
ショルティの骨太な構成感が相まった名演です。

マーラー/交響曲第6番「悲劇的」
指揮=ゲオルグ・ショルティ
管弦楽=シカゴ交響楽団
LONDON / SCL 2387~8

マーラー6番・ショルティ盤

次の写真は、この記事に登場したCD、
チャイコフスキー「悲愴」バーンスタイン盤です。

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」
指揮=レナード・バーンスタイン
管弦楽=ニューヨーク・フィルハーモニック
グラモフォン / F35G-20084

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