プロコフィエフの交響曲の探訪を続けています。
今日は第4番をご紹介しましょう。

この<交響曲第4番>には新旧二つの版が存在します。
1930年版(作品47)と1947年版(作品112)です。

ボストン交響楽団創立50周年を記念委嘱作品として
クーセヴェッキーの依頼によって作曲された
1930年版は、演奏時間約25分の規模で
軽妙な作品であったそうです。
この時期に作曲していたバレエ音楽「放蕩息子」
の素材を転用しながら作曲された音楽です。
第3番が歌劇「炎の天使」から着想を得て作曲された
ケースと酷似しています。

しかし、交響曲第6番の作曲後に、
作曲者はこの作品を大幅に見直して、
初版の幾つかの素材を破棄した上で
より綿密な展開を施した新版を、
新たな作品番号も与えた形で発表しました。
今日の紹介はその新版、1947年版です。

一方で、旧版の軽妙な魅力を惜しむ向きも多く、
ジャン・マルティノンが全集に新旧両版を収録して以来、
数多くの両版収録の全集やディスクが誕生しています。
本ブログでも、近い内に、その両版に対する
私なりの見解を掲載したいと考えています。

私の仕事場のライブラリーには、このCDが在ります。
前述の通り密接な関係を持つバレエ音楽「放蕩息子」
とのカップリングになっています。

プロコフィエフ/交響曲第4番
        バレエ音楽「放蕩息子」
 マリン・オールソップ指揮 サンパウロ交響楽団
 NAXOS / 8.573186

プロコフィエフ/交響曲第4番CD

###<交響曲第4番 ハ長調 作品44 / 112>###

[第1楽章]
穏やかに始まる楽章ですが、
次第にヴォルテージが上がっていきます。
最終的には、ティンパニや大太鼓等
打楽器の強打が印象的な力感に溢れる冒頭楽章となります。
ソナタ形式に沿って分析できる構造を持っています。
ところどころの諧謔的な印象がある楽想は、
プロコフィエフならではの個性です。

[第二楽章]
第3番の第2楽章と同様に、
第一次と第二次の両大戦に挟まれたこの時代の
陰鬱な雰囲気も暗示しているな緩徐楽章です。
憧れのような感じと諦念が同居しているように、
私には感じられます。

[第3楽章]
プロコフィエフが得意とする通常のスケルツォ楽章
ではなく、メヌエット的な中庸なテンポ感の中で奏される
舞曲楽章の雰囲気を漂わせる間奏曲といった
独特の佇まいの楽章です。
トリオは、近代的なカボットといった雰囲気です。

[第4楽章]
ロンド形式を自由に活用した構成による終楽章です。
闊達な主部と中間部の悠然とした楽想が対照的です。
モダニズムも感じられる音楽です。

音楽そのものが持つ濃密な求心力としては、
<第3番>の迫力に及びませんが、なかなかの力作です。

YouTube / Prokofiev Symphony No. 4


<第2番><第3番><第4番>と
聴き進めてくると、なかなか聴き応えのある
重量級の作品群であることが判ってきます。