先年、BS放送で、今まで見逃してきた名画
「楢山節考」を偶然ですが見ることができました。
素晴らしい作品に圧倒される思いがしました。

この映画は1958年の公開作品で、技術的には
富士フイルム社のカラーネガが使用された
初の長編映画という点が特筆されます。
日本が戦後の復興から高度経済成長期に入った頃で、
様々な技術力や生産力が発展を遂げていた時期でした。

###映画「楢山節考」(1958年製作版)###

 監督・脚本=木下惠介
 原作=深沢七郎
 製作=小梶正治
 美術=伊藤憙塑 梅田千代夫
 音楽=杵屋六左衛門 野沢松之輔
 撮影=楠田浩之
 編集=杉原よし
 配給=松竹 公開=1958年6月1日 上映時間=98分
 出演者=田中絹代 高橋貞二 他
 1958年度「キネマ旬報ベストテン第1位」
      毎日映画コンクール日本映画大賞 他

黒子の口上に始まり、歌舞伎に見られる手法を取り入れた
舞台装置(背景大道具)の早変わり、背景画の使用、
屋外風景も全てセットを設えての撮影を徹底、
長唄や浄瑠璃を徹底的に使用した音楽、等々、
日本文化が持つ様式美を前面に押し出した
希有な作品になっていました。

内容は「姨捨(おばすて)」の風習に基づく原作を、
相当忠実に映画化したもので、素朴な環境下に生きていた
先人の知恵と苦悩について、大いに考えさせられる作品です。

2012年に木下恵介監督生誕100年を記念して
デジタルリマスター版が製作されました。
私が放送で見たものもそのヴァージョンと思われます。
素晴らしい画質、美しい画面でした。

YouTube / 映画『楢山節考』
      オリジナル予告編(原恵一監督)


後年、1983年には、
監督=今村昌平、音楽=池辺晋一郎氏、
主演=緒形拳・坂本スミ子の陣容で東映で
再映画化されています。

満開の径3