昨日まで数回にわたって国際現代音楽協会の世界大会=
<ISCM世界音楽の日々'92ワルシャワ大会>の
想い出・体験記をご紹介しましたが、
今度はその次の年の大会について書きましょう。
<ISCM世界音楽の日々'93メキシコ大会>です。

この音楽祭は、1988年の香港大会(ACLとの合同開催)
に次いで、欧米圏外での開催でした。
メキシコという国は、決して先進国や経済大国という
国際的な認識にはありませんが、
古代からの歴史や伝統を湛えた風土や、
近現代芸術でも存在感の在る芸術家を輩出するなど、
野太い文化大国といった観があります。

1964年の日本に次いで
1968年にオリンピックを開催したのも、
このメキシコでした。
男子マラソンの君原選手の銀メダルや、
サッカーの銅メダル(釜本選手が得点王!)
が思い起こされます。

さて、本題に入りましょう。
私は前年のワルシャワ大会に続いて、日本支部代表として
ISCM総会にも出席しながらの参加となりました。
前年に意気投合した Diego Luzuriaga氏にも
再会できました。
また、1990年<ACLアジア音楽祭'90 東京/仙台>で
来日して、日本現代音楽界で時の人となっていた
譚盾氏(TAN Dun/中国)が、
オーケストラ作品をものして参加されていて、
氏とも大いに語り合うことができました。

音楽祭開幕は、テオティワカンのピラミッド群
の中での野外イベントでした。
いかにもメキシコという感じでした。
日没とともに急に気温が下がり、
寒さの中でのイベントにでした。

このメキシコ大会は、
首都=メキシコシティを拠点としての開催でしたが、
エクスカーションを兼ねた演奏会が、
かつて銀鉱山として栄えて今の銀細工店が多数並ぶ
山間の町=タスコに行くこともできましたし、
近郊の町中の教会の鐘を全て動員した壮大な環境作品も
上演されたりと、お国ぶりを遺憾なく発揮した日程でした。

2000~3000メートル級の高地で空気が薄く、
大きな盆地という地理的条件もあって市内の大気汚染が
深刻、という環境が少々辛くもありましたが、
(町の商店で携帯酸素ボンベが
 当たり前のように売られている!)
興味の尽きない滞在となりました。

下の写真は、その開幕直前に
ピラミッドをバックに撮った写真が
後に掲載された「音楽芸術」誌面の一部です。
詳しくは、「音楽芸術1994年4月号」(音楽之友社刊)
のバックナンバーを記事(筆者執筆)をご覧ください。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-テオティワカンで譚盾氏と