邦楽器作品の創作と邦楽器演奏界の更なる振興を
ライフワークの柱に据えている私です。
このところ、自作邦楽器作品の紹介を続けています。

2014年9月8日に開催した<松尾祐孝邦楽器作品個展>で
全曲版世界初演が行われた琵琶の為の作品、全12曲の
曲毎の紹介を続けています。

<歳時記~琵琶の為の現代音楽小品集>
「一月:瀧凍る」(独奏曲)
「二月:梅仰ぐ」(二重奏曲)
「三月:燕飛ぶ」(二重奏曲)
「四月:しゃぼん玉」(二重奏曲)
「五月:粽結う」(二重奏曲)
「六月:草蛍」(独奏曲)
「七月:大雷雨」(三重奏曲)
「八月:走馬燈」(独奏曲)
「九月:大やんま」(二重奏曲)
「十月:阿蘇噴煙」(三重奏曲)
「十一月:冬紅葉」(二重奏曲)
「十二月:初雪~降誕祭」(三重奏曲)

歳時記初演ステージ

この組曲の中の、
「一月:瀧凍る」(独奏曲)
「三月:燕飛ぶ」(二重奏曲)
「七月:大雷雨」(三重奏曲)
「八月:走馬燈」(独奏曲)
「九月:大やんま」(二重奏曲)
「十月:阿蘇噴煙」(三重奏曲)
の6曲が、
2018年8月31日に【全国邦楽合奏フェスティバル】で再演されました。
その記録動画は、主催団体=NPO法人全国邦楽合奏協会公式HPの新サイト、
“今邦楽ができること、夏の終わり創作リレー"にアップされています。
http://zensokyo.org/natsu.html



今日は<歳時記>第6曲=「六月:草蛍」を
ご紹介しましょう。
演奏時間約2分半の独奏曲です。
二月から五月まで4曲連続で二重奏曲が続きましたが、
ここで一月以来の独奏曲の登場です。

邦楽器の持つ、音のひとつひとつが持つ
音魂(おとだま)とでも言うような命を感じる
余韻や音の曲がりを活用した音楽になっています。
また、伝統的に効果音として多用されてきた
撥で絃を擦る奏法にヒントを得た新奏法も活用されています。

撥を絃の上で弾ませるように弾くと、
かなり明瞭な倍音が鳴ることに着目したのです。
かつては効果音として一括りにされてきた音が、
音程を明確に指定して演奏できることが分かったのです。
簡単に説明すると、撥を弾ませる弱音奏法で、
これもまた独自の記譜法を開発しました。

葉桜のシルエットと夕焼け