大作曲家の生誕250年に寄せて、
ベートーヴェンの交響曲全9曲の探訪を続けてきましたが、
一昨日から最後の巨峰「第九」の話題にはいっています。
そして昨日から各楽章を探訪しています。

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ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」を正格に聴く!
・・・・・「第2楽章」解説・・・・・

交響曲は、謂わば、オーケストラの為のソナタです。
古典派に確立した多楽章ソナタは、
ソナタ形式による冒頭楽章・緩徐楽章・メヌエット・終楽章
という4楽章構成がスタンダードとなりました。
やがて、メヌエットはスケルツォにとって替わられて、
ベートーヴェンの交響曲では、ソナタ形式・緩徐楽章・スケルツォ・終楽章
という構成がスタンダードになりました。

ところが、この「第九」では、第2楽章にスケルツォが置かれています。
理由は、勿論お解りの方も多いでしょうが、
明日の第3楽章の記事で言及するしましょう。

さて、このスケルツォ、当時の舞曲楽章
(メヌエットやスケルツォを分類して称します)
としては異例の規模を誇っています。
反復記号を遵守すると、10分を遥かに超える演奏時間になります。
何と、スケルツォ主部がソナタ形式で構成されていて、
トリオ(中間部)を挟んで繰り返して、
またソナタ形式による主部を演奏してから、
もう一度トリオに突入すると見せかけおいて、
スパッと終わるフェイクが見事な短い終結部で楽章を閉じます。
つまり、ソナタ形式を二度聴くことになるのです。

この構成は、後世の作曲家、シューベルトによって、
交響曲第8番「ザ・グレイト」の第3楽章スケルツォで応用されています。

さて、スケルツォ主部の第1主題は・・・
ラ・ララ・「レミファ」「ミファソ」「ファミレ」
「シ♭ラソ」「ファミレ」「ド♯レミ」レ・・・
という具合です。

スケルツォ主部第2主題は・・・
「ド~レミ」「ファ・ミレ」・ドレ・ド
「ミ~ファソ」「ラ・ソファ」・ミファ・ミ・・・
という具合です。

トリオの主題は・・・
「レ~~ミファ♯~~」ソラ「ソ・ソ・ファ♯・ファ♯・ミ」
・・・という具合です。

どれも、昨日の記事の第1楽章の二つの主題と同様に、
「順次進行による3音」を組み合わせて創られていることが判ります。


写真は、伝説的名盤として有名な
フルトヴェングラーのバイロイト盤LPのジャケットです。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団
EMI(Anhel)EAC-60027

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