(Dmitrii Dmitrievich Shostakovich / 1906-1975)の
交響曲(全15曲)の探訪を昨日からアップしています。
<交響曲第1番>(1926)が大評判となって、
ブルーノ・ワルターや、オットー・クレンペラー、
アルトゥーロ・トスカニーニ、レオポルド・ストコフスキー、
アルバン・ベルクからも賞賛され、弱冠19歳にして
国際音楽界に衝撃的なデビューを果たしたショスタコーヴィチの
次なる交響曲の誕生が待望されたことは想像に難くありません。
この作品はソ連当局の一機関、国立出版のアジアプロット局からの
委嘱作品として1927年に書かれたものです。
スターリン体制の下で"社会主義リアリズム"が推進される前の
当時のソ連では、革命による新たな社会の建設という
気運に連動して、前衛芸術運動も盛んであったそうです。
ショスタコーヴィチは、この作品で無調性や超多声的対位法等の
意欲的な技法を試みながら、単一楽章構成を採用して、
伝統的な構成の第1番とは全く異なる作品に仕立てています。
この作品は、革命10周年を記念するコンクールで1位となり、
初演当初は国内で高く評価されたようですが、
スターリン体制以後の前衛芸術弾圧の中で演奏されなくなり、
西側でもレーニン賛美の歌詞内容が敬遠されて、
滅多に演奏されないまま今日にいたっています。
##<交響曲第2番 ロ長調『十月革命に捧げる』作品14>##
大太鼓のドローンが微かに鳴る中、
弦楽器が渾沌とした響きの層を生成していきます。
20世紀前半アメリカの孤高の作曲家、
アイヴスの表現方法に一脈通じるところも感じられますが、
果たしてショスタコーヴィチが知っていたかどうか。
やがて不安気な旋律をトランペットや木管楽器が奏で始め、
漸く長三和音の暖かな響きが顔を覗かせます。
この辺りまでが、序奏部と考えられます。
一転して、決然とした音楽が開始されます。
主題の提示というよりも、いきなり展開部が始っているような
自由闊達な発展が繰り広げられます。
続いて、ヴァイオリン独奏に引き出されるように、
何と27声部にも及ぶウルトラ対位法による
実験的なフーガの部分に入っていきます。
労働者の勤勉な働きによって支えられている社会を
(実は心の底では揶揄しつつも)賛美しているようにも
聴こえます。やがて一瞬の明るいクライマックスの後、
音楽は穏やかに収束していきます。
これまでに登場したテーマ等の断片が漂うように奏される
間奏曲的な部分が、静謐に流れていきます。
突如、衝撃音が発せられ、合唱が導入されます。
これまでの渾沌とした響きが主体となっていた音楽から、
調性が明確な讃歌が歌い上げられます。
最後は、(国立出版のアジアプロット局からの委嘱作品ですから
致し方ありませんが)レーニン賛美の歌詞が連呼されます。
以上の5部分から構成される自由で発展的な音楽による
単一楽章交響曲と言えるでしょう。
ショスタコーヴィチは、時にこのような作品を
当局の要請に応えて書きながら、したたかに
ソビエト社会主義の時代を生き抜いていったのです。
YouTube / ショスタコーヴィチ交響曲第2番.wmv
私の仕事場のライブラリには、このCDがあります。
CD:ショスタコーヴィチ/交響曲第2番&第15番
ワシリー・ペトレンコ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
同合唱団
NAXOS / 8.572708
