作曲の世界で、自作品の発表演奏会や、
ある作曲家の作品の特集演奏会を、”個展”と称します。
私の場合は、幸運にも、まだ駆け出しの27歳の時に、
第1回個展を開催することができました。

1985年に開催された<第3回日仏現代音楽作曲コンクール>
で、特別賞を受賞して、その特典として
個展の機会を持つことができたのでした。
このコンクールは、東京日仏学院を会場として、
フランス大使館文化部と連携して、同学院と
藤田現代音楽資料センターの共催で行われていたものでした。
プリミエ・プリ(第1位)にはフランスへの留学、
特別賞には個展の開催が与えられるという、
特色が注目されていました。

もうこのコンクールはありませんが、
フランスの現代芸術を啓発し続ける心意気は、
電子音楽(コンピュータ音楽)のコンクール=<CCMC>に
引き継がれて、現在も東京日仏学院を拠点に開催されています。

さて、その第1回個展のプログラムをご紹介しましょう。

#######<松尾祐孝個展>#######

1986年6月10日(火)/ 東京日仏学院ホール
東京日仏学院・藤田現代音楽資料センター 共催

プログラム:

<飛来>Ⅰ ~フルートとヴァイオリンの為に~(1984)
  fl. / 斎藤曜子 vn. / 桑野 聖

<パッサカリア>(1983)
  pf. / 中川俊郎
----- 休憩5分 -----

<THE STRATOSPHERE>
for Violin, Clarinet and Piano(1985)
-第3回日仏現代音楽作曲コンクール特別賞受賞作品-
vn. 漆原啓子 cl. 板倉康明 pf. 中川俊郎

       ----- 休憩10分 -----

<PHONO>Ⅲ ~クラリネット・ソロの為に~(1986/初演)
cl. 板倉康明

<飛来>Ⅱ ~弦楽四重奏曲第1番~(1985)
  vn. 漆原啓子 松原勝也 va. 後藤龍伸 vc. 山本祐ノ介

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この個展から、早いものでもう30年が経過しました。
今振り返ってみると、出演者の顔ぶれが、
今や日本のクラシック音楽界を中核で支える
スター・プレイヤーがずらりと並んでいることに、
あらためて驚きと歓びと感謝の念が湧いてきます。
新しい作品・音楽を世に送り出すことに、
協力を惜しまずにおつき合いをいただいた友人に恵まれていた、
私の青春時代でした。感謝!感謝!

この写真は、最後のカーテンコールの模様です。
現在の東京日仏学院エスパース・イマージュ
にあたるステージ(当時は東京日仏学院ホール)です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第1回個展のフィナーレ

折角の個展開催ですから、1曲は新作をと考えて作曲した
<PHONO>Ⅲ は、当時の私としては新境地となる作品になり、
以後、独奏作品<PHONO>シリーズとして、
様々な楽器の為に書き続けていくことに繋がりました。

また、この個展の開催を切掛として、
東京日仏学院と藤田現代音楽資料センターの協力を仰いで、
[PHONOSPHERE MUSICALE CONCERT SERIES] を
開催していくことにも繋がっていきました。

作品を書き続けて、世に問い続けて・・・
継続は力なり・・・
私の大切な想い出のひとつをご紹介しました。

まだまだ、好奇心旺盛・行動力旺盛で、
作品を書き続けていきたいと、決意を新たにしています。

・・・現在のリニューアルされた東京日仏学院の風景・・・
カフェ・コーナー

階段付近の解放感

東京日仏学院の外観