朝日新聞出版から刊行されている「週刊朝日百科シリーズ」
の一環として毎週発行された雑誌、
<私鉄全駅・全車両基地>のご紹介は今回で第26号です。
前々号と前号の南海電気鉄道の紹介に続いて、
本号は成田空港アクセス事業を展開する
京成電鉄とその系列会社の登場です。

京成電鉄は、日本初の地下鉄と私鉄の相互乗り入れとして
都営・浅草線と直通運転を開始した他、
その直通運転のために1372ミリ(馬車軌間)から
京浜急行や都営・浅草線と共通の標準軌1435ミリに、
神業的短期間での改軌を成し遂げた他、
また東京ディズニーランドの誘致と事業化に
大きな役割を果たすなど、先進性を持った会社です。
しかし一方で、成田空港のアクセス輸送を
国策の一部として担う役割を与えられながら、
空港そのもの開港の遅れの影響から
一時期は経営が非常に苦しくなる等、大手私鉄の中では
必ずしも陽の当たる存在ではありませんでした。

しかし、後に開発された成田新幹線構想の路線沿線が、
紆余曲折の末に北総線+空港アクセス線として整備されて、
現在では、スカイライナーがその新路線を経由して
最高速度160キロで疾走するようになり、
JRとの乗り換え拠点駅=日暮里駅も
リニューアル工事が竣工して面目を一新して、
新たな時代を迎えています。

私鉄全駅・全車両基地26/京成電鉄

###私鉄全駅・全車両基地26/京成電鉄###

本線、東成田線、押上線、金町線、千葉線、千原線、
成田空港線(スカイアクセス線)、北総鉄道、新京成鉄道、
芝山鉄道、等が紹介されています。

本線のJRとの乗り換え結節点は、起点駅の京成上野駅が
JR上野駅から少し離れていることもあって、
一つ手前の日暮里駅になっています。
手狭な構内でしたが、三層構造の近代的な駅とホームに
大改造が行われ、今ではすっかり面目を一新しています。

日暮里駅リニューアル

懐かしい写真も数多く掲載されています。
成田空港の誕生と発展の経緯に翻弄された歴史があり、
その名残は、現在の本線、成田空港線、東成田線、
芝山鉄道が複雑に絡んでいるところに
示されています。

懐かしい写真も満載

一方で、映画「寅さん」でお馴染の帝釈天が在る柴又や、
船橋大神宮など、庶民的な名刹が在るのも
京成電鉄の沿線です。
かつては大いに賑わった”船橋ヘルスセンター"や
"谷津遊園"が在ったのも京成沿線でした。

寅さんの柴又も京成沿線

京成電鉄と言えば、初詣の人出が全国第2位と言われる
成田山新勝寺の存在を忘れてはいけません。
そもそも京成電鉄の誕生は、成田山への参詣客輸送を
主なターゲットとして計画されたのですから。

成田山新勝寺の紹介

車両紹介や全駅紹介も勿論網羅されています。
前述した改軌の際の暫定平面乗り換え駅の写真も
掲載されています。貴重な記録です。

全駅紹介と貴重な改軌期の写真

昼間の京成高砂駅は、想いの他長閑な雰囲気です。
しかし、ホームに佇んでいると、
様々な車両がひっきりなし行き交いきます。
スカイライナー、京成色の通勤電車、
京成のステンレス・アルミ車両、京浜急行の赤い車両、
北総線の青系の車両、等々、鉄道ファンには堪らない
車両ウォッチのスポットです。