・・・・・第3楽章」解説・・・・・
古典派に確立したソナタ・交響曲の楽章構成の基本形は、
ソナタ形式に夜冒頭楽章→
緩徐楽章→
舞曲楽章(メヌエットまたはスケルツォ)→
ロンドまたはソナタ形式による終楽章
という4楽章でした。
ところが、この「第九」は中間楽章の順序を入れ替えています。
楽章の順番くらいは別に大した問題ではないと
思われるかもしれませんが、上記の4楽章構成の成立経緯には、
舞曲による組曲を核としたヨーロッパ芸術音楽の器楽作品の
歴史・伝統の中で育まれたものですから、
実は結構な大事件なのです。
終楽章を、声楽をも導入した未曾有の規模に壮大な音楽に
しようと考えると、直前の音楽は速度の早いスケルツォよりも、
心を鎮めて終楽章を迎えるように深遠な緩徐楽章が
相応しいということなのでしょう。
それにしても、なんと厳かなで美しい音楽でしょうか。
この楽章には、二つの主題が登場します。
冒頭から登場して、全曲わたって何度も奏される
主要主題は・・・
レ~~~ラ~~~シ♭~~~「ファ~~ミ♭レ~」
ファ~「シ♭~~~ドレ~」ファミ♭ド~・・・
楽章前半に二度奏される副主題は・・・
ファ♯~ミ~~「ミ~ファ♯ソ」ミソファ♯~
「ファ♯~ソラ」ファ♯ラソ~「ラシド♯」ミレ~・・・
といった具合です。
ここでも、昨日・一昨日の記事で説明した
第1楽章と第2楽章の主題達と同様に、
「 」で示した「順次進行3音」が
重要な構成素材になっていることが判ります。
そうなのです。この「順次進行3音」の
三つの楽章にわたる深層心理への刷り込みが、
来る終楽章で遂に登場する「歓喜の歌」のあの旋律に
聴き手を無意識のうちに誘っているのです。
明日はいよいよ、その終楽章の解説に進みます。
写真は、この楽章の厳かな緊張感に寄せて、澄んだ空気が
ピーンと張りつめたような雪景色をアップしましょう。
