アメリカで初演!<飛来> Ⅴ 〜クラリネット、ピアノと管弦楽の為の協奏曲〜その2 | 松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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昨日の記事に続けて<飛来>Ⅴ の話題を続けます。

The Richards & Tanosaki Duo の委嘱に応えて作曲した
"DISTRACTION for Clarinet and Piano" (1987) の
ニューオリンズで開催された<全米音楽学会>での初演や、
メルボルンで開催された<国際音楽学会>での再演が、
成功裏に遂行されたことによって、お二人と私の絆は
まだ会ったこともなかったにも関らず、深まっていきました。
まだインターネットが普及する前の話で、郵便・電話・ファクス
が国際伝達手段だった時代でした。
1990年に東京と仙台で開催された<ACLアジア音楽祭'90>
に出演される為に来日(帰国)されたお二人に、
漸くお会いすることができました。

そのような意志疎通を継続していた中で、
俄にこの<飛来>Ⅴ の誕生に繋がる話が持ち上がりました。
お二人の当時の勤務先=Hamilton College(USA/NY州)で、
<日本音楽シンポジウム>が開催されることになったのです。
勿論、お二人の熱意と尽力で立ち上げられたに違いありません。

"DISTRACTION for Clarinet and Piano"
で新境地を開拓できた私は、
この書法の更なる可能性を感じていた時期でした。
「この作品を独奏パートに敷延して協奏曲を書いてみたい!」
と考えていたところに、<日本音楽シンポジウム>の話が
舞い込んだのでした。
お二人にも私のアイデアに強い興味を持っていただき、
結果として、Michaelさんが指導したおられた
ハミルトン大学オーケストラと
The Richards & Tanosaki Duo の為の協奏曲を、
大学委嘱作品として作曲することになったのです。

天空から何物かの気配が飛来するかのように曲は始ります。
2管編成オーケストラの柔軟な響きを背景に、
"DISTRACTION for Clarinet and Piano" を分解して
再構成したような独奏パートが、縦横無尽に駆け巡ります。

藝大在学中に学内で演奏された経験を除くと、1991年の
香港フィルハーモニー管弦楽団で"協奏交響~活気ある風景"
(Impressions of Hong Kong
     管弦楽コンクール第1位受賞作品)
が演奏された事に続く、オーケストラ作品の発表が、
1992年3月に、まだ冬景色だったアメリカNY州の
ハミルトン大学で行われたのでした。

指揮は自分自身で担当しました。
前述の香港フィルでの初演の指揮者が尾高忠明氏だったのですが、
そのリハーサルを経験していたことが、大きくものを言いました。
英語によるオーケストラ・リハーサルの進行方法を、
心得ておくことができたのです。

”経験が人を造る” と言いますが、このような幸運な巡り合わせに、
今でも自分の運命に感謝しています。

追記:
現在、E. Michael Richards と Kazuko Tanosaki のお二人は、
UMBC(メリーランド州立大学ボルティモア校)に転じて、
活発な活動を展開されています。

写真は、2010年秋に訪ねた時の香港の街中の風景です。
赤いタクシー(香港島側の目印)、
二階建路面電車、二階建バスが、
高層ビル街を縫うような道路にひしめき合う、
いかにも香港島というカットです。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-香港の路上の喧騒