若い皆さん、オーケストラをどんどん聴きましょう!
国際文化交流のインターナショナル・スタンダードである
オーケストラ音楽に精通することは、
これからのビジネスやレジャーや文化における
国際交流に、きっと役に立つ素養になりますよ!
オーケストラ音楽の素晴らしさを、是非体感してください。

昨夜、久しぶりにN響を聴いてきました。
2011年からニューヨークのメトロポリタン歌劇場の
首席指揮者に就任、更に翌年からはスイスの
チューリッヒ歌劇場の音楽監督も兼務している、
オペラにもコンサートにも強みを発揮している指揮者
ファビオ・ルイージのタクトによるオルフ・プログラム
ということで、とても楽しみにNHKホールに足を運びました。

ファビオ・ルイージ頁


#####NHK交響楽団 第1774回定期演奏会 初日#####

    2014年1月25日(土)18:00開演 / NHKホール
        指揮=ファビオ・ルイージ

 プログラム:
   カルル・オルフ / カトゥリ・カルミナ
       Sop.=モイツァ・エルトマン
       Ten.=ヘルベルト・リッパート
       合唱=東京混声合唱団(合唱指揮=松井慶太)
       Pf.=梅田朋子 楠本由紀 成田良子 野間春美
       Perc.=NHK交響楽団打楽器セクション

   カルル・オルフ / カルミナ・ブラーナ
       Sop.=モイツァ・エルトマン
       Ten.=ティモシー・オリヴァー
       Bar.=マルクス・マルクヴァルト
       合唱=東京混声合唱団(合唱指揮=松井慶太)
          東京藝術大学合唱団(合唱指揮=阿部純)
       児童合唱=東京少年少女合唱隊
            (合唱指揮=長谷川久恵)
       管弦楽=NHK交響楽団

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N響プログラム1月号

カルル・オルフ(1895-1982)は、教育音楽の分野で著名ですが、
作曲家としては、この2曲に大管弦楽曲「アフロディーテの勝利」
を加えた「三部作」の作曲家としても有名です。
「カトゥリ・カルミナ」は、オーケストラの本体を必要としない、
変則的な楽器編成ということもあって、滅多に演奏されません。
「アフロディーテの勝利」に至っては、
私はまだ生演奏で聴いたことがありません。
「カルミナ・ブラーナ」は、世界中でしばしば演奏され、
名曲として定着している作品です。

この日の2作品は、1930年代から40年代にかけて作曲されたもの
ですが、当時としては極めて斬新な様式を持つ音楽でした。
複雑精緻になる方向に発展していた当時の先端的な音楽の傾向に
真っ向から対立するような、原始的とも本能的とも言えるような
単純生と反復性を基本とした骨太の構造を提示したのでした。

私はこの曲を始めて聴いたのが、確か中学生時代に聴いた
N響定期であったと記憶しています。
それ以来、「カルミナ・ブラーナ」をすっかり好きになって、
小沢征爾盤(LP)を貪るように聴いていました。
現在の私の仕事場のライブラリーには、
ジェームズ・レヴァイン盤(CD)が有ります。

昨夜のファビオ・ルイージの統率は、基本的には早めのテンポで、
引き締まった演奏でした。しかし、ここぞというところで、
独唱や合唱を気持ちよくたっぷり歌わせる場面のメリハリが
実によく利いていて、オペラ指揮者としての実力が垣間見えました。
約60分にもなる長丁場の「カルミナ・ブラーナ」を、弛緩なく
一気に聴かせきってくれた統率に、満席の聴衆は沸きに沸きました。
終演後の拍手は全く鳴りやまず、オーケストラが退場した後も、
合唱団が退場したあとも、まだ醒めやらず、
遂にはファビオ・ルイージがもう一度ステージに登場して
大喝采が再現されてから、ようやく拍手が治まったという
滅多にない光景が展開されました。

生演奏の素晴らしさの一つの要素として、
このような一期一会の瞬間に出会えることもあるのです。
若い皆さん、オーケストラをどんどん聴きましょう!

YouTube / カルミナ・ブラーナ(小沢征爾&ベルリン・フィル)