私は、ついつい多忙な日常に埋没してしまいがちで、
なかなかゆっくりと読書に勤しむ時間を持てないでいます。
それでも、昨年の後半は、
電車の中や練る前の一時などに少しづつ時間を見つけて、
司馬遼太郎の歴史長編小説「菜の花の沖」を読むことにして、
暮れも押し迫った頃にのようやく
全6巻(文春文庫)を読破し終わりました。

主人公は、廻船商人でありまた優秀な船頭である高田屋嘉兵衛です。
淡路島の貧農に生まれて、当時の農村や漁村に見られた
極端に閉鎖的な若者による組織社会の中で揉まれに揉まれて、
遂には淡路島から脱出して
(土佐藩を脱藩した坂本龍馬にも一脈通じる!?)
兵庫に居着いて廻船問屋・船頭の世界に入っていったのです。
そして、本人に類稀なる資質と様々な幸運も重なって、
短期間に高田屋と屋号を持つ廻船商人として、
おおきな存在に台頭していきます。

とりわけ、蝦夷地(北海道や千島列島)での交易に
早くから目をつけていた嘉兵衛は、
折から松前藩の独占に任せていた蝦夷地運営を
直轄統治に変更しようとしていた江戸幕府に目をかけられ、
一介の承認や先導としては異例の扱いを受けて
蝦夷地の運営や交易に広く深く関っていきます。

そんな折り、ロシアがカムチャッカ半島から千島列島への
南下進出による武力衝突が起こるようになってきて、
遂には嘉兵衛自身も何とロシア側に拿捕されてしまうのです。
しかし、嘉兵衛の人格の気高さが伝わり・・・

この物語を読み進めていくうちに、
日本人、蝦夷地、アイヌ民俗、北方領土といった内容を
深く考えさせられます。

2012年は、竹島、尖閣諸島、等の
領土問題がスパークしたこともあったので、
この「菜の花の沖」の読破は
実にタイムリーであったと考えています。
そして今日は建国記念日です。

様々なことを考えさせてくれる名作との出会いは、
文学作品でも音楽作品でも美術作品でも、
素晴らしいものですね。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-「菜の花の沖」全6巻