気鋭の三味線演奏家=西潟昭子氏が、
古典を基本としつつも、流派の垣根を越えて、
五線譜を読み現代作品にも取り組むことをモットーとする
個人経営アカデミーとして誕生した "現代邦楽研究所" は、
毎年度末に修了コンサートを開催しています。
(現在では洗足学園音楽大学の移管されて
その附属研究所の一つとなっています。)
そこでは、受講生が演奏するための新しい作品が委嘱され、
年度終盤の演奏授業で練習を重ねて、初演されます。
この作品は、その1997年度の委嘱作品ということになります。

「初心者も多い受講生でも合奏を楽しめる練習曲を・・・」
という依頼でしたので、一曲目は、
とても素直な旋律を主体とした音楽にしました。
しかしそれだけでは物足りなくなった私は、
二曲目では変拍子も交えた複雑なリズムの音楽を書き、
三曲目ではミニマル音楽風の繰り返す音形が空間を漂うような
音楽を作り、全体としてはかなりのボリュームになりました。

まだ設立して間も無かった時期の現代邦楽研究所でしたから、
現代作品や複雑なリズムを未経験の受講生や若手講師・助手も多く、
練習の段階から物議をかもしました。
「なんでこんかことを書くんだ!」と食ってかかられたことも
ありましたが、次第に演奏がまとまっていくに従って、
徐々にそれらの声もトーンダウンして、
初演はまずまずの成功を収めました。
その後、この曲は同研究所のレパートリーとしてすっかり
定着して、数多くの再演を重ねていただいていますし、
同研究所の委嘱作品集CD(ALM RECORDS / ALCD-9028)
にも収録されています。

喧々諤々意見を戦わせた当時の若手講師・助手・受講生
たちの多くは、今ではすっかり独り立ちされて、
演奏家として、また同研究所の講師として、
立派に活躍されています。
また、そういった喧々諤々があったからこそ、
同研究所の若手の皆さんと仲良くお付き合いができるようにも
なり、以後の様々な場面で同研究所と協働を行なっています。

作品の基本情報は下記の通りですが、
演奏にあたっては、その場の条件に合わせて、
"曲数と曲順は自由に設定して良い" ということにしてあります。

タイトルは、「小交響曲」という意味の "SIMPHONIETTA" に、
" 新しい音楽の楽譜に悦びが多い " という漢字をあてたものです。

#####<新譜音悦多>~邦楽合奏の為の練習曲#####
     (1998年 現代邦楽研究所委嘱作品)

素敵譜 Ⅰ ~ 旋律・しらべ ~
素敵譜 Ⅱ ~ 巣渓流津尾・すけるつお ~
素敵譜 Ⅲ ~ 綾・あや ~

    <SIMPHONIETTA>
      Step Ⅰ ~ Melodia
      Step Ⅱ ~ Scherzo
      Step Ⅲ ~ Fiber

  演奏時間:約11分 ( Ⅰ=4分 Ⅱ=3分 Ⅲ=4分 )
  初演:<現代邦楽研究所第期修了コンサート>
       1998年3月28日 / abc会館ホール

箏 Ⅰ    = 黒澤陽子 吉原佐知子 原田文代 木内恭子 
      郷 真理子 内田まどか 
箏 Ⅱ    = 大川海恵子 岡本と志子 堀口典偉 大野雅子
      水田聡子 塚田裕子 大坂智子
十七絃  = 森 由幾子 大竹和子 塚田とも子 小林千鶴子
三味線 Ⅰ = 上原潤一 谷尾範子 野澤徹也 
      熊谷美和子 北村佐智子
三味線 Ⅱ = 大森美樹 温井 亮 山本普乃 
      河野菊江 堀江美雪 
尺八   = 菅原久仁義 山口賢治 神 令

春秋社から刊行されている楽譜・CDについては、
1月2日の記事をご参照ください。
その他、現代邦楽研究所委嘱作品集CD
(ALM RECORDS / ALCD-9028)も発売中です。

写真は、現代邦楽研究所の一枚板に墨で揮毫された看板です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-現代邦楽研究所の看板揮毫