日本語の許可証の許可ではありません。
中国の代表的な民俗楽器=二胡の国際的演奏家の
許可(シュイ・クゥ/Xu Ke)さんです。
西洋オーケストラとの協奏曲独奏にも堪え得る音量や、
人工ハーモニクスをはじめとするヴァイオリンで可能な
奏法のほぼ全てを可能にするなど、
楽器や奏法の国際化・近代化に尽力され、
二胡(胡弓)を、民俗音楽の伴奏楽器から国際的な
独奏楽器に、一気に高めている、パイオニアです。
卒業後は、若くして北京中央民族楽団首席奏者や
中国芸術家代表団(訪米楽旅)コンサートマスターを
歴任した後、活動を世界に拡げる決意をした許可氏は、
まず最初の拠点を日本の東京に定めました。
もっとも、最初から音楽の仕事があるものではなく、
アルバイトをしながら活動を始めて、苦労をしながら
徐々に日本での知名度を上げていったのです。
その頃(1990年代前半)、
中国人作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏が日本で急速に
注目されるようになって、度々来日していました。
氏とは、<ACLアジア音楽祭90東京ー仙台>で懇意になって
以来、折りに触れて一献傾ける機会を持っていた私は、
ある時(たしか六本木界隈で食事をしていた時)、
「貴方に紹介したい人物が居るので今からここに呼びましょう」
と言って、中国語で電話をかけはじめました。
それから小一時間後、流暢な日本語を操る朗らかな人物が、
人懐こい笑顔を湛えて現れました。
それが、許可氏だったのです。
すっかり意気投合した我々3人は、許可氏の為に
二胡作品を書いていくことを約束しあったのでした。
そして実際に、その後の数年の間に、
私は二胡の為の作品を書いていったのです。
その中のひとつに、下記の作品があります。
###胡弓とパーカッションの為の<天風愛舞和庵>###
(1992)
<深新會第20回作品展>第1夜 出品作品
演奏時間:約14分
初演:1992年6月 abc会館ホール(東京)
演奏:胡弓=許可(シュイ・クゥ)
打楽器=ポーロゥニア・パーカッションアンサンブル
指揮=松尾祐孝
台湾初演:1992年12月 台北 中正民族楽団演奏会
胡弓=薫正明
打楽器=中正民族楽団
指揮=松尾祐孝
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この作品では、現代音楽作品という観念を捨てて、胡弓(二胡)
の本来の持ち味を活かすことを最優先して作曲を進めあした。
その結果、私の作品の中では比較的にリラックスして
聴くことができる曲になりました。
また、初演早々に当時緊密にコンタクトをとっていた
台湾の現代音楽界との連系によって、台湾初演も実現しました。
台湾では、最初は指揮無しで演奏する予定だったのですが、
結局指揮が必要ということになり、
急遽私が指揮台に立つことになりました。
その出演料の替わりに胡弓独奏者の薫正明氏からいただいた
ステージコスチュームが、下の写真です。
その台湾初演のステージと、翌年からナヴィゲーターを担当した
NHK教育テレビ番組「ゆかいなコンサート」で
ゲストに許可氏(二胡奏者/一昨日の記事参照)をお迎えした回
の収録で、実際に着用しました。

初めて訪ねた台湾(台北)は刺激的でした。
現在のように地下鉄等の公共交通機関が整備される前の
台北市内は、バイクの洪水がすごく、雑然としていました。
でも、日本人としては懐かしい感じもする雰囲気がありました。
そして、中正記念公園に在る、伝統建築に似せた外観を持つ
コンサートホールと伝統音楽ホールの威容に、
圧倒される思いもしました。
1992年、この年から、私の海外での活動の場が
急速に拡がっていったのでした。