三浦尚之氏との縁〜ミュージック・フロム・ジャパン委嘱作品<琵琶悠遊> | 松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

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昨日の記事でも紹介した、
三浦尚之氏の「日本現代音楽協会特別賞」受賞は、
私個人にとっても大きな歓びです。
2007年の<Music From Japan>に
委嘱作品作曲家として参加することができた私は、
三浦さんの絶大なるご支援の下に、
貴重な経験を積むことができたのです。

三浦尚之氏との縁から誕生した作品は
<琵琶悠遊>というタイトルです。
琵琶を主人公として、それに笛(篠笛と能管の持ち替え)と
小鼓が絡む邦楽器三重奏曲です。

この作品の委嘱の打診を受けたのは、
2006年の夏頃だったでしょうか。
長年にわたり、三浦尚之氏がご家族で事務局を切り盛りされて
ニューヨークの地で日本の伝統音楽と現代音楽の紹介に努めて
こられた事は、既に十二分に承知していましたが、
実際に仕事をご一緒することは初めてでした。

2007年は全米の数ヶ所を巡るツアーも含めて、琵琶奏者の
田原順子さんをメインとしたプログラムが予定されていました。
琵琶を主人公として、協演者として同行される予定の
西川浩平氏の笛と髙橋明邦氏の鼓(打楽)を加えた三重奏作品を、
という委嘱内容になった訳です。

曲の序盤は、舞台中央で座奏する琵琶の繊細な時空を紡ぐ中で、
鼓と笛が思い思いの方向からまるで能役者のように
歩いては止り歩いては止りアクセントを奏でていきます。
(下の写真からイメージを掴んでいただけるでしょうか。)
やがて3者は石庭(枯れ山水)を思わせるような配置に収まり、
次第にメカニカルな合奏に入っていき、
遂には丁々発止のクライマックスに到達します。
私なりに日本の伝統と現代を象徴した作品です。

このような作品をニューヨークを含むアメリカ・ツアーで
発表できたことは、私にとっても作品自体にとっても、
とても幸福なことでした。
ツアーのエピソードやニューヨーク公演の模様等については、
明日と明後日の記事で紹介していきましょう。


  #####<琵琶悠遊>ーBIWA-YUYUー#####
  (2007年 ミュージック・フロム・ジャパン委嘱作品)

          演奏時間:約13分

 初演:<Music From Japan 2007 Tour ワシントン公演>
 2007年2月24日 / スミソニアン美術館
          ユージン&アグネス・E・メイヤー講堂
琵琶=田原順子 笛=西川浩平 鼓=髙橋明邦

日本初演:~弾き・語り・琵琶~田原順子
 2008年7月17日 / 門仲天井ホール
琵琶=田原順子 笛=西川浩平 鼓=髙橋明邦

その他、同じ演奏家によるNHK-FM収録・放送等もありました。 

尚、この作品は「現代の日本音楽第19集ー松尾祐孝」
(楽譜&CD/春秋社刊)に収録されています。
    

写真は、この作品の上演中の舞台の様子です。
能舞台のような雰囲気をお解りいただけるでしょうか。

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