音楽家・作曲家への道のり第一歩は、
まず、音楽通・音楽愛好家になることです。
好きで好きでたまらない音楽を聴き抜いて、調べ抜いて、
楽しみ尽くす心をなくして、プロにはなれません。

私は、折りに触れて、現代音楽の作曲家の仲間や知人と、
一献ご一緒することがあります。
時には、古今東西の作曲家の書いた「交響曲第#番」
の中で、最高傑作はどれだろうか・・・といった話題で、
何時間も話が尽きないこともあります。

何だかマニアックだなあと思われるかもしれまえんが、
考えてみれば、車の話題、スポーツの話題、歴史の話題、等々、
好事家が集まっての談義がそれぞれにマニアックな訳です。

では、あらためて皆さんにも話題を提起しましょう!
「貴方の交響曲第7番ベスト・ワンは誰の作品ですか?」
マニアックな答えがある方は、
是非メッセージをお寄せください。

ご参考までに、私なりの考察を披露しておきましょう。

ベートーヴェンの第7番は、
いきなり有力候補の登場といった感があります。
音楽家を目指す音大生の群像を描いた
コミックとそのドラマ化で
大いに話題になった「のだめカンタービレ」で、
再三流れた曲で、クラシック音楽ファン以外にも
すっかり有名になりましたが、以前から、
玄人筋には第5番以上に人気の高い名曲です。
私も大好きで、中学生から高校生の頃に、LPを
4種類も擦り切れんばかりに聴きまくったものです。

シューベルトの第7番は、一昔前までは第8番と言われてきた
あの「未完成」です。これも、突然変異的な名曲です。
妖しいまでに美しいロマンが魅力です。
2楽章しかない作品で「未完成」と言われていますが、
この二つの楽章に並ぶ後続楽章が書けなかったのか、
それともこの2楽章で完成された様式美が達成されたと
考えたのか、シューベルトの真意を知りたいものですが、
私は、完成された美を湛えた名曲だと確信しています。

ロマン派中期の作曲家で、
交響曲が第7番まで到達した巨匠は、
残念ながら存在しません。
後期ロマン派から20世紀に目を向けていきましょう。

ブルックナーの第7番は、第4番「ロマンティック」と並んで、
この作曲家の歌謡性が素直に表出された名曲と言えましょう。
第2楽章の葬送行進曲調の荘重な音楽は、特に人気が高いです。
昭和天皇が崩御された朝方、
FMラジオからこの楽章が流れて来る中、
車を運転していました。
朝日で徐々に空が明るんできた光景がとても印象的で、
今でも脳裏にその時の印象が焼き付いています。

マーラーの第7番「夜の歌」は、この作曲家の交響曲の中では
マンドリンやギターが編入楽器として取り入れられている
緩徐楽章を含む5楽章から成る作品です。
一筋縄では捉えきれない輻輳した魅力を讃えています。

シベリウスの第7番は、この作曲家の最後の交響曲ですが、
何と単一楽章構成で、まるで交響詩のような趣です。
晩年の燻し銀の風格を讃えた独自の音楽が魅力です。

ヴォーン・ウィリアムズの第7番は、
ちょっと変わった経緯を持つ作品です。
南極探検家スコットを描いた映画の音楽を再構成して
交響曲に仕立てたもので、通称「南極交響曲」です。
残念ながら、最近は滅多に演奏されません。

プロコフィエフの第7番は、晩年の作品ですが、
「青春」と呼ばれている佳品です。

ショスタコーヴィチの第7番「レニングラード」は、
演奏時間が優に1時間を超す大作です。
中でも、特に長大な第一楽章のソナタ形式の
展開部はユニークです。
ちょっと楽天的なテーマによるパッサカリア調の変奏が
延々と続く中、次第にヴォルテージを上げた楽想が、
やがて強力なクライマックスに到達する様は圧巻です。

その他にも、超マニアックな第7番はあるでしょうか。
ご存知の方は、是非メッセージでお知らせください。

さて、私の第7番ベストワンは・・・
やはり・・・ベートーヴェンの交響曲第7番かな!
学生時代に聴きまくったLPを3点紹介しましょう!

ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1943年録音)
PHILIPS / PC-3(M)
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ベト7フルトヴェングラー盤

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮/
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
来日記念盤 / ビクター(新世界レコード)/ MK-1029
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ベト7ムラヴィンスキー盤

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
グラモフォン / MG-2023
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-ベト7カラヤン盤