継続的にこのブログを訪ねてくださっている読者の方々は、
既に感づいているかもしれませんが、
このところの<DISTRACTION>シリーズや<飛来>シリーズの
記事の中に、クラリネットという楽器が頻繁に登場しています。

私がクラリネットに関心を持って研究を始めた切掛は、
1984年と1985年に室内楽の分野で実績を挙げよう考えて、
ヴァイオリン・クラリネット・ピアノの組み合わせの
三重奏曲を作曲したことに始ります。

1984年の作品のタイトルは次の通りです。
"レクイエム" ~ヴァイオリン、クラリネットとピアノ為に~
この作品は、第1回現音作曲新人賞に入選しました。

1985年の作品のタイトルは次の通りです。
"THE STRATOSPHERE" for Violin, Clarinet and Piano
この作品は、第3回日仏現代音楽作曲賞で特別賞を受賞しました。
この受賞の副賞として、翌年に個展演奏会を開催することができ、
そこで発表する新作が、<PHONO>Ⅲ for Clarinet solo でした。

この独奏曲の作曲にあたっては、藝大時代の同級生の俊英=
板倉康明氏に数々の情報提供や助言をいただきました。
そこからの触発によって更にクラリネットへの興味が深まり、
1986年には、<飛来>Ⅲ~クラリネットと弦楽の為の協奏曲~
が誕生します。勿論、初演の独奏者は板倉氏でした。

このような活動が現代作曲家のカタログとして大変貴重な
「日本の作曲家」刊:サントリー音楽財団/編:日本作曲家協議会
のリストに掲載され、それを見たアメリカの演奏家=
The Richards - Tanosaki Duo が
私にコンタクトを寄せてくるようになりました。
そして、そのお二人との協働・協創から誕生した作品が、
"DISTRACTION" for Clarinet and Piano(1987)と、
<飛来>Ⅴ ~クラリネット、ピアノと管弦楽の為の協奏曲~
(1992)でした。

E. Michael Richards 氏の演奏能力と膨大な研究成果
(UMBC/メリーランド大学ボルティモア校)のHPサイトを検索すると、
氏の著書「21世紀のクラリネット」を閲覧することができますよ!)
に触発されて、私の作曲家人生に大きな転機をもたらした作品が
誕生したのでした。私の30歳前後は、
正にクラリネットという楽器への熱中時代でもあったのです。

このように、一つの楽器の魅力に熱中して作曲に取り組んだ経験は、
後の私の作品群に大きな影響をもたらしました。
ある楽器を主人公とする作品を作曲する時、必ず、
その楽器の気鋭の演奏家から直接に情報提供を受けて、
その楽器の魅力に熱中しながら筆を進めるように心掛けているのです。
今までお世話になった多くの演奏家の皆様に、深く感謝いたします。


今日の写真は、パリの風景~セーヌ川の夕暮れです。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-セーヌ川の夕暮れ