~青春うたものがたりシリーズ3~「種子島あおぞら教室卒業生」 6 | おとぎのお家と仲間たち

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Web上のアンデルセンやグリム童話、ディズニーランドのように子供と大人が一緒になって楽しめる、エンターテイメントと感動がいっぱいの作品(コンテンツ)を、お届けします。

音譜只今、当関連ブログの人気作品シリーズのひとつである~青春うたものがたりシリーズ3~「種子島あおぞら教室卒業生」新作品がスタートしました。本作品は、昭和30年代前半から40年代前半(日本の高度成長期)の種子島の中央に位置した町、中種子町のある小さな農村地帯M村(M部落)に生まれ、種子島で幼年期から高校を卒業するまでの少年期を過ごした、今は東京に住む下田達也という一人の壮年男性の人生体験を通じて、 “家族愛”のテーマについてその答えを追求していく、ヒューマンドキュメントタッチ作品です。ぜひ、半世紀という時代を超越して“真実の人間ドラマ”の愛と感動に、会いに行ってください。


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父の死 6


ようかい ようかい ようかいよ 我が子を 愛する父母がいるように

父と 母を愛す子供だって この世にいたって可笑しかないさ


「ようかい」/種子島に伝わる子守唄の替え詩


父の病状が回復したことが、よほど嬉しかったのだろう。

普段は、口数が少ない寿子が、この時ばかりは自分の方から可笑しいくらいにシャベリ続けた。

「あれでお母ちゃん、どっちかというと世間知らずじゃない・・・」

「外のことは、ほとんどお父ちゃんに任せっ切りだったし・・・」

「本当に、お母ちゃんが一人になったら、どうしようかと思ったわよ・・・」

「ついさっきまで、そんなことばかりを考えていたでしょう。頭の中が真っ白になってね・・・」

「アッハハハ・・・」

寿子は、間髪を容れず陽気にシャベリ続けた。

「お父ちゃんも、ホント人騒がせな男だよね。アッハハ・・・」

「こんなに、みんなに心配かけて。ね、そう思わない?」

寿子の、電話口から聞こえてくる屈託なく喜ぶ声が、改めて達也に安堵感を与えてくれた。

ただ、寿子もいくら姉とはいっても、やっぱり女性である。

達也と話しているうちに、これまで保っていた緊張感が、一気に解れたのか?

電話を切る直前になって、「お父ちゃんとお母ちゃんが、可哀相・・・・・」と、話し声が突然トーンダウンしたかと思ったら、泣き出してしまった。

子供の頃から、何かにつけて姉弟の中でも、人一倍家族や父に対する思いやが強かっただけに、今日の寿子が受けた心の傷みを考えると、その感情の高ぶりの表れは、ごく当たり前のことに思えた。

それはまた達也に対して、なんだかんだと父母の愚痴を零しながらも、寿子の父母に対する愛情の深さを、血の繋がった姉弟として、改めて純粋に感じさせられた一面でもあった。

父の訃報を知らせる、寿子からの電話のベルが鳴ったのは、このわずか六時間後だった。

――トゥルルルル、トゥルルルル・・・――

その一本の電話の呼び出し音は、我が家の寝静まり返った空気の流れを、一気に重苦しい空気の流れに、何の前触れもなく一変させるものだった。


そして、達也にとっても、初めて親と子の関係の無常さについて、考えさせるものでもあった。




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♪♪♪♪「おとぎのお家と青い鳥」One week 第3号♪♪♪♪


――日本初の「日本一短い人間ドラマ文庫シリーズ」登場!!――



かつて、歌は “3分間のドラマ”と言われていました。そのとおり、確かに歌は人にとってひとつひとつ歌が“短編ドラマ”といっても過言ではありません。それは、歌が、悲しいときや苦しいときに人の心を励ましてくれたり、優しさや温もりを与えてくれたりするからです。そしてまた、嬉しいときや楽しいときには、両手で抱えきれないほどのいっぱいの幸せな気分を与えてくれるからです。
では、その歌と同じようにすべてのストリーを3分間以内に読破でき、読者に対して幸福や感動、笑いなどを与える短編小説があったとしたら・・・
この「日本一短い人間ドラマ文庫シリーズ」が、日本で初めてその作品づくりを現実に実現したものです。ぜひ、すべての作品がわずか3分間以内で読み切ることが出来る、さまざまな人間ドラマを描いた短編小説の数々をお楽しみください。



(1)「母が笑った。僕が笑った。」

母が笑った。

僕が笑った。

そして、二人が笑った。

笑うたびに、入れ歯をはずした母の口の周りが、梅干のように皺だらけになる。

子供のように無邪気に笑う、母の笑顔に久しぶりに出会った。




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(2)「息子」

ピンポーン。

「あっ!はい」息子だ。

息子が帰ってきた。

どんな顔をして、どんな言葉を掛けてやろうか。

頭の中では、色んな想像を回らし、迎える準備をしていたつもりだった。

それがいざ現実になると、つい慌てるだけでそう上手くいかないものである。

それもそのはずかもしれない。三年ぶりの再開だからだ。

僕が突然リストラされて職を失い、家族が一緒に暮らせなくなってから、もうはや三年の歳月が経っていた。

その間色々なことがあった。

父が死んだ。

妻が病気(乳がん)になった。

家族が家族でなくなった。

僕は僕の非力さを恨んだ。

学歴を恨んだ。社会を恨んだ。

それでも恨みたりずに、貧乏の家に生まれたことを恨んだ。

僕は泣いた。

暗闇の中で泣いた。

独りぼっちで泣いた。

それからすぐに、僕の周りから家族の温もりが消えた。




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