野村克也さんの真骨頂って、王貞治選手をオールスターで徹底的に封じたことだと思う。あれによってデータ野球、野球の奥深さがクローズアップされるキッカケになったのかなぁって。でも根本にあるのは選手同士の意地、こういう対決が少なくなってきたような気がする。王選手も公式戦では違っていただろうから、同一リーグでの両者のせめぎ合いも見てみたかった。それとやっぱり92年の日本シリーズは面白かった、合掌。
2/13
プロ野球って選手の記憶を元に書かれた逸話が多くって、結構事実と異なる場合って多いんだよね。取材者がスコアカードの確認を怠っているのか、話が面白いから敢えてスルーしているのかは分からない。
誤りを指摘するのは野暮な場合が多いけれど、達川氏の金本に対する勘違いはひどかったね。金本をいたずらに神格化するばかりか、当時の遠山の凄さまで忘れちゃってるんだから、ああいうのは訂正したくなってしまう。
『あのね、試合終盤カープが大量リードしていてね、休ませる意味で うっかり 代打町田公二郎を送っちゃったんですよ。あれさえなければフルイニングはもっと続いていたんですよ、本当に申し訳ないことをしました。』
事実は全く違う。7回表タイガースが3-1でリード、カープ1ダウン満塁一打逆転のチャンス、迎える打者は金本、これに対し野村監督は左キラーとして全幅の信頼を寄せていた遠山 をマウンドに送った。それに呼応して達川監督は右の切り札町田を切った。決してうっかりでも、休ませる意図でもなく、勝つための作戦であり、当時の遠山投手はそれほど相手から見て厄介だったし、達川氏は金本にそれほどの信頼を置いていなかった事になる。
江夏の21球が後々まで語り継がれるドキュメントたり得たのは、山際淳司さんがスコアカード持参で丹念にインタビューしたからだろう。ところが大抵は選手の話を、言葉は悪いが垂れ流すだけだよね。エピソードが面白ければ良いが、金本交代についての誤りを無批判に流すようなことを 連続 していると、日本野球そのものを衰退させることにつながりかねないよ
2/14
宜野座キャンプ中継、吉田義男さんの話は面白い。アナが古いことに疎くてもセルフで思い出すのはスゴイ。ノムさんの話もそう。言いにくいけど、ほとんどブレイザー時代に見た戦術、葛西・遠山は池内・山本。中西時代にもワンポイント藤原仁、サード池内(王は絶対に流し打ちをしないから)も。星野修の2ランスクイズ(2点目の走者今岡)は、安藤時代 北村・加藤博一のコンビでもあり、9回表の決勝点、その日ファーム落ちの決まっていた二塁走者加藤博一さんが、いつもとは違いニコリともせず黙々とベンチに戻ってきた姿が38年経っても忘れられない(注:当時は今とはルールが違い、事務手続きの関係で登録抹消当日は試合に出られたのです。)
それらを知っているのか否か、まるでカルト教の盲目的な信者の如く何でもありがたがりすぎるのは本当に情けないと思いつつ見ていた。ひょっとすると阪神で成功しなかった一因かも。
ブレイザーが藤江・中西両コーチを呼び、中西太さんは85年メンバーを鍛え、藤江清志さんは達者な英語力を活かし、バース獲得に拘わったことは、意外に語られていない。タイガースにおける野村さんは評価する人もいるが、師匠とも言えるブレイザーは一般には岡田を干したダメ監督って認識されていそう。が、阪神に対する貢献度は野村さん以上かも知れない。
2/15
古い例えで申し訳ないが、野村型、長嶋型、両方がせめぎ合うプロ野球が一番面白いんじゃないか。全員が長嶋型の野球は面白いけど、その逆全員が野村型の野球は絶対つまらないぞ。
阪神での野村さんが良かったのは、遠山投手再生もあったが、なんと言っても長嶋型の新庄を気分良くプレーさせたことにつきるよね。しかし今岡の起用法では しくじった。これからの名監督はデータ派・非データ派 両タイプを共存させられる監督って言えるかも知れない。
1959年日本シリーズで巨人のヒット性の打球を悉く阻み、日本一に貢献した大沢親分(中堅手)。当初は野球ライターによって「尾張メモ」の存在ばかりクローズアップされたけれど、実際は大沢さん独自の感働きによるところが大きかったことが分かった。
データを尊重しつつも、選手個々の臨機応変な対応力、こういう野球が見たい。ちょっと前の名手だと宮本慎也、仁志敏久両選手はこのタイプだったような気がする。対して小坂誠選手は、圧倒的な運動力で魅せる天才タイプ(あくまで筆者の印象です)。両方が共存するからこそ面白い。
有用なデータは勿論必要、使う側の問題。咀嚼せずにただそればかりを金科玉条にしてしまうと、どちらも死んでしまう。データにそれほど拘らないが一流のプレーが出来る天才型、データはきちんと頭に入れてはいるが臨機応変な頭脳派の共存、一番ダメなのはデータにがんじがらめにされるプレーヤー、それ以上にそうさせてしまう監督、あくまで一ファンの戯れ言ですがそういう印象です。