野球の本って、結構ウソが多く書いてあるんだよね。
 
 スコアカードと照らし合わせると、自分の記憶の方が正確なことって結構多い。例えば川藤幸三さんの話は面白おかしく脚色してるから、あえて訂正しようとは思わないんだけど、達川光男さんには参っちゃうw
 彼の作話を鵜呑みにする人が多いので、まともな話が通じないことがあって往生した経験が何度もある。ここが一番のポイントなんだけど、川藤さんのホラは誰も傷つけない一方、達川さんの勘違い(特定の選手を過度に褒める)は、自動的に他の選手をおとしめている、だからムキになって訂正したくなるんだ。
 
 具体的に挙げてみよう。

 達川氏の金本に対する勘違いはひどかったね。金本をいたずらに神格化するばかりか、当時の遠山の凄さまで忘れちゃってるんだから、ああいうのは訂正したくなってしまう。

 

 あのね、試合終盤カープが大量リードしていてね、休ませる意味で うっかり 代打町田公二郎を送っちゃったんですよ。あれさえなければフルイニングはもっと続いていたんですよ、本当に申し訳ないことをしました。

 

 事実は全く違う。7回表タイガースが3-1でリード、カープ1ダウン満塁一打逆転のチャンス、迎える打者は金本、これに対し野村監督は左キラーとして全幅の信頼を寄せていた遠山 をマウンドに送った。それに呼応して達川監督は右の切り札町田を切った。決してうっかりでも、休ませる意図でもなく、勝つための作戦であり、当時の遠山投手はそれほど相手から見て厄介だったし、達川氏は金本にそれほどの信頼を置いていなかった事になる。
 

 江夏の21球が後々まで語り継がれるドキュメントたり得たのは、山際淳司さんがスコアカード持参で丹念にインタビューしたからだろう。ところが大抵は選手の話を、言葉は悪いが垂れ流すだけだよね。エピソードが面白ければ良いが、金本交代についての誤りを無批判に流すようなことを 連続 していると、日本野球そのものを衰退させることにつながりかねないよ 

 
 
 今回自分が過去の記憶をブログに書き留めようと思ったのはそういう経緯もある。今後達川さんと川藤さんの事も書くかも知れない。達川さんは人物は面白くて大好きだが、解説者としては最も嫌いである。彼の人望と話術のなせる技なのだが、こちらがデタラメを並べているようにされてしまうのは、一野球好きとしてはツライものがある。
 昔、近藤唯之さんという著名な野球ライターがいて、某人気サイトでほら吹き扱いされていたが、あれは彼が作話師なのではない。取材した野球選手の盛った話を、更に彼独特の口調でドラマティックに仕立てた結果なのである。