戦略転換能力の面で、日本の企業がいまや欧米企業に勝るとも劣らないフレキシビリティとダイナリズムを擁するに至っていることだけを付け加えておきたいと思います。
ビジネスを成功に導くためには、すぐれた経営戦略の立案・実施が不可欠であることは誰もが認めるところです。
では改めてその「戦略」とは何かと問いただすと、はたとその答えに窮してしまうことが少なくありません。
経営学のテキストを紐解くと、さしずめ次のようなオーソドックスな定義が目につくでしょう。
「戦略とは、企業の長期的な目標ないし目的の決定、ならびにこれらの目標を遂行するに必要な一連の行為、および資源配分の採択のことである。」
多忙な毎日を送っている経営者にとって、まことにもって「雲を掴む」がごとき代物で、「そんなもの(戦略)は、何の役にも立たん、さっさとくず篭に投げ捨てて、ソロバンはじきでもした方がよっぽどまし……」といったところが偽らざる心情でしょう。
「戦略」云々に対するこのような経営者の態度をいっそう勇気づけてくれる定義もまた、都合のよいことに存在するから、まったく始末におえない。
「戦略とは、後々になってから正当化(合理化)された好運のことである。」
「戦略とは、企業の過去および現在の成功の理由づけに関する理論である。」
では本当に「戦略」とは無用の長物なのでしょうか。
その答えは「イエス」であり、「ノー」でもあります。
しかしながら、会社自体が一つの目標をもっている限り、行動の指針となる。
「何ものか」が必要なことは明確で、その「何ものか」を「戦略」と呼ぶにふさわしいほど立派な、体系だったもの・斬新的なものであらねばならないと、ややもすれば経営者は勘違いします。
そこに問題が内在しているといえます。
大切なのは、「戦略計画」ではなくて、むしろそれが実践という行動を導くかどうかです。
言い換えると、実践行動を創発できるものは、「戦略」に代わる効果をもたらすということです。