想像力って何の話かというと、Webページのデザインで、想像力がないとユーザビリティ的によくないWebサイトを作ってしまう話。元の記事は、 ここから始めるWebアクセシビリティ―誰もが使いやすいホームページの作り方 である。何気なくリンクしてみたが、このリンク先のURLが分からなくて無茶苦茶苦労した。


多分、本からの紹介だと思うのだが、ありがちな「赤字は必須です」というようなデザインを例にして、次のように指摘されている。


このようなページを現実に制作してしまう原因は、ホームページ設計者の想像力欠如だといえる。アクセシビリティやバリアフリーといったことについての意識がないのだ。


しかし、私はユーザビリティに関しては専門家だから言いたいが、そのような簡単なことでも、想像して対応することは極めて難しい。言われてみれば簡単なことなのに、言われないと如何ともし難いのである。これは想像力の問題ではない。経験がないのだ。実際に経験したら当たり前のことでも、経験してみなければ理解できないものだ。意識がないのではなく、知識がないのである。


確かに、ユーザビリティをそれなりに勉強すれば、どのような場面でどういう問題が発生するか、想像できるようになる。勘で分かるようになってくる。ある将棋の名人が、勘は経験に裏付けられるものだと言っていたが、経験を積まないと勘は生まれないのだ。


そのような想像がどれだけ難しいか。そのページには、「無意味に画像を使っているために音声ブラウザで読み上げられない」という場合が指摘されているのだが、実はそのページにコメントを書くためには、コメント欄に出てくる画像に書かれている数字を読まなければいけない。ということは、最近の音声ブラウザは、この程度の数字は読むことができるのだろう。画像認識恐るべし、みたいな。


もう一つ紹介しておくと、例のページは、タイトルの文字色に緑色が使われている。他には、リンクの箇所も緑色の文字で、色を見分ければある程度分かるようにデザインされている。あれれ、色で見分けなければ分からないようなデザインはいけないかったのでは? 実際は、リンクの上にカーソルを持っていけば、色が変わって、アンダーラインが表記されるようになっている。これは一見よさそうなUIだが、「そこに持っていかないとクリックできることが分からない」というのは、やってはいけないデザインの一つなのだ。理由ですか? そこに持っていかないとクリックできることが分からないからだ。もちろん、どこがクリックできるか分かりにくくするのが目的なら話は別だが。


特にそうしなければならない理由がなければ、リンクは青系の文字で、最初からアンダーラインが引いてあるのがいい。それを見た瞬間にリンクだと判断する人は、世界中に大勢いるからだ。たとえ青にアンダーラインという組み合わせが、デザイン的にいまいちだとしても。このことも、ユーザビリティの本には書いてあると思う。その点、ここ(裏ご意見番)も実は気に入ってない。ココログとかJugemの方は、アンダーラインが付いているのでいい。ここもそうしたいのだが、設定方法が分からないので放置してあるだけだ。


ちなみに、クレジットカード番号の入れさせ方なんてのは、ユーザビリティの事例としては常識的なもので、4桁ずつ入れるようなテキストボックスを用意するとか、ボックスが一つなら、ハイフンを使っても使わなくても両方処理できるようにするとか、記入例を横に書いておくとか、そのような基本的なアイデアは既に出尽くしていて、想像するよりも事例を見た方が話が早いし、見落としもなくなる。


余談だが、自分のWebページが見やすいかどうかの簡易判定方法。Firefox のように一瞬でスタイルシートをオフにできるブラウザを使っているのなら(簡単にオフにできないブラウザがあるらしい!)、一度オフにしてみるといい。もしその方が見やすかったら、何かが間違っているのだろう。