東京国際フォーラムで開催されている TRONSHOW 2005 に行ってきた。TRONSHOWというのは、TRON Project の成果発表のために毎年開催されているイベントである。その内容は公式サイトを見てくれた方が話が早いと思うので、今回は書かない。では何の話が始まるのかというと、アンケートの話だ。

この種のイベントでは、メーカーのブースでアンケートを実施していて、それに答えると粗品をもらえる、という仕組みになっていることが多い。簡単なアンケートが多いし、回答することで何かフィードバックを与えることができるなら、多少の手間が役に立つかと思ったりするので、暇のある限り答えることにしているのだが、これがだんだん馬鹿馬鹿しくなってきた。

というのは、このアンケート、紙に、鉛筆で回答を書かせるのである。名刺を持っていればいいと言っても、連絡先のメールアドレスとか、性別とか年齢とか、毎回書いていると気分がアンニュイになってしまう。

紙に書くのって、当たり前じゃないか、と思う人がいるかもしれないので少し説明しておくが、TRON Project というのは、コンピュータと人間との関係はどうあるべきか、という所から始まった一大プロジェクトで、確か1984年頃からやっているので、20年になる。今年の目玉は多分ICタグの筈だが、プロジェクトそのものは多方面の研究を同時進行させていて、メーカーのハードウェア設計レベルの話から、夢の住宅を作ろうという話まで、まあ人間とコンピュータが関わりそうなことなら全て手を出すという物凄いプロジェクトなのだ。

そのTRON Project が20年もかけて今なお、たかがブースでアンケートの回答をコンピュータに直接入力させる程度のシステムすら提供できない、というのが現実の社会なのである。

今回の目玉はICタグだと言った。私は事前に参加登録しているし、入場の時に登録番号を受付に言って入場証をもらっている。これにICタグを付けておき、アンケートを実施するブースでUCを使って読み取れば、いちいち余計なことをその都度手書きしなくてもいいはずなのだが。ついでにUCにアンケートを答えさせるためのソフトウェアを入れておけば…、とか、いろいろ思うことはある訳だが、まあできないものはできないのだろう。

※UC: ユビキタスコミュニケーター。多数のプロトコルによる入出力装置が実装されている。今回の TRONSHOW では、至る所でこの装置が使われている。

あと10年経てば、ユビキタスコンピューティングは普通に使われる時代になるという。TRONSHOW 2015 の頃には、アンケートの回答を紙に書かなくても済むようになっていることを期待したい。