希望と絶望と陶酔と破滅と愛と死を齎す女神みたいに思っている節がある
もしかしたら完全には消えないのかもしれない
ずっと残るのかもしれない、少なからず
人に対し幻想を抱くというのは、抱く側としては崇拝に近いものがあると思う
しかし抱かれる側からすると「本当の自分を見てくれない」ように思えるかもしれない
確かに、崇拝じみた思想が泳いでいるような感覚は、有る
しかしこれは、表面を盲目的に撫で回すようなものではない
嘘偽りの無い感情の先にある突起…その中の一つに過ぎない
だから、決して、それが真実に向き合う妨げになったりする事はない
ただ、崇拝というアクリル板的なものによってソーシャルディスタンスが保たれ続ける
という可能性は充分有る…というか、意識的に取っ払わなければそうなるのかもしれない
それがたぶん、問題なんだ
神聖なものは穢してはならないし、神聖な領域には踏み込んではならない
つまりそれが有る限り、対等にはなれない…かもしれない
けど、その方が安全だとも思える…いくらかの悪い結果を完全に遮断できる
特定の欲や願望が湧き出るのを未然に防ぐ事が出来る
別の観点からその防衛策が邪魔にならない限り、有った方がいい安全なものだ
邪魔になるとしたら、もっと現実的に向き合い、踏み込む必要が出てきた場合
それはもしかしたら、信仰を穢すような感覚かもしれない
その時点でいくらか抵抗があるのは確かだ
それが一つ、一つの大きな抵抗だ
例えば、とても美しい細工の施された芸術品と言える盃があったとして
それに眼を奪われ、心を奪われ、心底惚れ込むとする
それが手に入るなら、何よりも丁重に扱い、自分の命なんかより余程大事にするだろう
しかし、その盃に強烈な快楽の得られるドラッグが入っていた…とする―そう仮定する
それは小さな錠剤の形を成し、どうやら足(盃はゴブレット形だった…とする)の中に引っかかっているものまである
一度味わったらそのドラッグに抗う事は出来ない、なんとしても全て取り出そうとするだろう
元々欲したのは盃であり、重要なのはそれが崩れることなく丁重に保管される事であり
穢す事もほんの少し傷つける事も、増して割ってしまう等以ての外…だったはず
しかし、割る…欲に抗いきれず割ってしまう
…なんて事があったとして
あったとしたら、それって、どれだけ愚かで虚しい事か
後悔してもし切れない、自分を恨むしかないがいくら恨んでも起きた事は取り消せない
そんな馬鹿な話があるか…あっていいはずが無い…等と後悔しても遅い
悪いのは自分だ、我を忘れた自分だ、見失った自分が悪い
が、悪いとか何とかって話ではない、問題なのは、壊してはならないものを壊したという結果
…なんて事があってはならないと強く思う
そんな感じの考え…それがもう一つ、大きな抵抗
あとは…やはり、醜い自分をこれ以上出したくない
醜い自分やみっともない自分をこれ以上曝したくない
充分に恥は曝している
これ以上曝け出す必要があるだろうかというくらい、曝している気がする
これ以上マイナスなイメージを植えつけたくない
今更取り繕っても…というのはある…けど、それでも、やはり抵抗がある
…たぶん、そういう事
それらの複合
これ以上間違いたくない、これ以上恥を曝したくない
そういう事、だと思う