. | ファニーポッターと賢者の意志

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先日の事、久し振りに都心に出向いた
僕は顎鬚を伸ばしていた
今までは近所でもない限り、外出するとなれば全部引っこ抜いていた
でも今度こそ伸ばしっぱなそうと決めていた
僕は顎鬚を伸ばしていた、伸ばしっぱなしていた
それどころか、口髭すら伸ばしっぱなしていた
別にいいやと思った、このままでいいやと思った
顎鬚だけだとバランスが悪くなる、顔面のっぺり周りもっさりおかしい
このままでいいだろう、今回こそは伸ばしきるのだ
最低限整えてはある、いいはずだこれくらい、いくらも居るはずだこんな髭野郎
久し振りに都心に出向いた、顎にも鼻下にも髭を残して、田舎者というより野生の変なキモチワルイ生き物みたいな感じで、電車に乗った
……居ないじゃないかばかやろー!恥ずかしい、恥ずかしいじゃないか、居ないじゃないかこんなキモチワルイ感じの奴、たまらなく恥ずかしくなってきた、なんでこんな状態で電車なんか乗ってしまったんだ、嫌だ帰りたい、ろくに顔も隠せないなんだこのやろー!
…とか思ったけど、まぁ、誰が見てるわけでもなし、髭生やしてることすら誰も気付きゃあしないだろうと、精々なんか髪長い変なのが居る…程度にしか思わないだろう、誰も見ちゃいない…てことで、わりとすぐ慣れた、気にならなくなった
あれだろ、寧ろ、どうせ、髭とか無い方が顔の造りがはっきりわかってキモチワルイとか思われんだろうクソがお前らだって大した顔してねぇだろうよ
いや、そんな事はどうでもいい、問題じゃない
普段ならあれだが、今回の問題はそこじゃない
…「僕は何をやってんだ」その一言に尽きる
てか、こんなとこに書き残すのもなんかキモチワルイな
とにかく、髭は関係無い、髭は関係無いけど、とにかく後悔、とにかくキモチワルかった
いくら気分転換したかったからって、いくら自棄になっていたからとはいえ、いくら頭からっぽみたいな状態だったとはいえ、間違っていた、あんなのは間違っていた、そういう反省
しかし、おかげ(とは言いたくないが)で、もうきっぱりやめることができた、決心できた、今更ながらようやく目が覚めた