中学受験での弊害だと思えること | 中学入試と医学部入試の道の駅

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小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。

私のブログの読者様の中から、私が中学受験に賛成の立場なのか反対なのか分からないという話をいただくこともあるのですが・・・。それは基本的に賛成ですよ。

 

子供の頃は勉強などさせずに遊ばせておけばいい、という立場の方もいらっしゃるのですが・・・。遊ぶのもいいことだと思いますよ。

”3つ子の魂100まで”といいますよね。それを強く感じます。小さいときに経験したことが、後の人生に大きく影響していくものだと思います。

音楽関係は子供の頃から始めないとプロにはなれません。スポーツも同様ですよね。ですから、学問の世界で一流になるのであれば、早期から始めないといけないのは同じだと思います。

ただ、音楽やスポーツといった世界と比較して、学問の世界は母集団が大きいので、例外は数多く存在しています。

「高校卒業まで勉強を全然していなかったけれど、学問の世界で一流になった」という人もいるでしょう。そういう例外的な人は目立ちますが、あくまで例外的天才です。多くの人は、早期からの教育が能力を開発したことが大きいのではないかと感じます。医学部受験生も医学部生も、私立中学出身者か中学受験経験者が本当に多いものです。

 

 

 

ただ、私が見ていて、中学受験の弊害だと感じることもあるので、それだけは注意しておきたいところです。

中学受験で良いことは、頭を使うことです。頭を使って物事の道理を考えるから、柔軟な思考力が育っていき、それが後々に活きていくものです。

ただ、中学受験の勉強は難しい。平均的な小学生では対処が難しいことでしょう。頭を使ってもなかなか正解には辿り着けないことも多い。

そうすると人間はどういう行動に出るか・・・。それは丸暗記です。算数でも解法丸暗記にはしるでしょう。塾の先生がやったことを何となくコピーして、それらしきことをやってみたりします。

出てきた数字を何となく足したり掛けたりすると、答えらしきものが出てきますよね。特に考えることなく、そんなことをしてしまう子供も出てくるものです。

そして恐ろしいことに・・・頭を使って考えるよりも、適当にやった方が、正解率が高いのですよね。そうすると、頭を使って煩わしいことをするよりも、適当にやることに走ります。もちろん、こんなことでは私立上位校には合格できないのですが、ある程度は受験がこなせてしまう。

 

この現象は、身に覚えのあるお母様もいるかもしれません。高校数学や理科は、理解するのが難しくて、定期試験を乗り越えるために公式や解法の丸暗記に走った人もいるでしょう。それでも、受験で理系科目を使わない人は何とかなるのです。

しかし、中学受験の時点から丸暗記に走り、思考力を否定していくと、文系科目すら思考しなくなります。何も出来なくなってしまうのですよね。

大学受験では、この状態ではどうしようもありません。考えない頭を排除するのが大学受験の目的の一つですから。

 

 

受験科目は暗記科目です。それは中学受験でも大学受験でも、文系科目でも理系科目でも変わりません。しかし、暗記科目ではあるものの丸暗記科目ではないのですよね。思考力を基にした暗記科目です。

 

中学受験では、多くの塾で週末テストが襲い掛かってきます。だから暗記に走ってしまうことはある程度は仕方ないものです。しかし、そこでしっかりと考えられるかということが重要なのですよね。だから、なるべき中学受験の生徒には分からなくても、分かる部分までは考えさせたいと思っています。

 

いくた