中学入試の空中戦 | 中学入試と医学部入試の道の駅

中学入試と医学部入試の道の駅

小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。

昨日も最後の授業を前に休憩中。

中学受験の経験者しか分からない空中戦を紹介したい。

問題)
一辺の長さが10cmである正方形の外接円の面積を求めよ。

この問題、高校生以上なら簡単な問題だ。
直径が10√2 半径は5√2 面積はπ(5√2)^2=50π

当たり前に出せるだろうが、これが小学生に解けるだろうか?小学生はルートは使えない。ルートを回避していけるだろうか?実はこのように解く。

とりあえず、対角線の長さが2cmの正方形をイメージする。
正方形の面積は2×2÷2=2
外接円の直径は2  半径は1  面積はπ

これで正方形と外接円の面積は 2:π
だと分かった。
元の問題の正方形の面積は、10×10=100
よって外接円の面積は、100×π/2=50π

(実際には、小学生はπ=3.14として解く)

実に恐ろしいやり方ではないだろうか。テーマに対して直接アタックできないときに、機転を利かせて別のアプローチをして、最後に目標を的確に攻撃する手法、私は空中戦と呼んでいる。
地上の標的に対して、遠い上空で態勢を整えて、最後に撃破するイメージがあるからだ。

他にもこんな問題がある。

問題)
硝酸カリウムの水への溶解度は70℃で135  30℃で45であった。70℃の硝酸カリウムの飽和水溶液100gを30℃にしたときに、硝酸カリウムは何g析出するか?

これも高校生ならば溶質の質量をしっかりと求めて、析出量をx gとして、方程式に持ち込むであろう。
しかし小学生は方程式が解けない。(解ける人も多いが一応解けない体である)これをどのように解くか。

まず、水を100 g  硝酸カリウム135 gを用意して、70℃の飽和水溶液を235 g作ってしまう。これを30℃にすると135-45=90 gの析出となる。
235 gの飽和水溶液で90 gの析出となるので、100 gの飽和水溶液では、

235:90=100:x
x=90×100÷235=38.3 gの析出となる。

この解き方も空中戦である。
この解き方を以前、公立高校の生徒に提案してみたことがある。その生徒は国立医学部に進学した生徒で自力抜群であったが、この解き方には❓❓であったので、すぐに取り下げた。
私立中学出身の今年の予備校の生徒が、この解き方を化学の先生に披露したらしいが、化学の先生も❓❓であったらしい。


これをお読みの方は、結局他の解き方でやれるなら、中学受験の手法は不要ではないか?と思われるかもしれない。私もこれらの手法自体は不要かもと思う。

しかし、空中戦で鍛えたソリューションは大学受験でも恐ろしく機能することがある。またそれも紹介していきたい。
学問ばかりでなく、様々な問題で多角的に解決方法を探るということは、現実社会でも重要だ。

今日の一曲は、シャ乱Qのシングルベッド。

いくた



にほんブログ村 受験ブログ 医学部・医療系受験へ