進路講演会を聞いた帰り道、胸の奥がざわついていた。

 

スライドに映し出された合格率や偏差値の数字は、ただのデータだ。
 
しかし、妙に現実味を帯びて迫ってくる。
 
「大学入試は甘くない。」
「高1のうちからしっかり勉強しましょう。」
 
耳にタコができるほど聞いた。
 
予備校がああだ、学歴がこうだという話を聞くたびに頭が痛くなる。
 

 
それでも考えてしまう。
 
もし大学に入れなかったらどうなるのだろう。
浪人したらどうなるのだろう。
 
頭の中で最悪の未来ばかりが再生される。
 
「人生が決まる」という言葉が、必要以上に重く響く。
 
冷静に考えれば、大学に行けなかったからといって人生が終わるわけではない。
 
浪人も珍しい選択ではない。
 
それでも、自分の番になると話は別だ。
 
失敗した自分を想像するだけで、足元が不安定になる。
 

家の前まで来たところで、ふと立ち止まった。
 
少しだけ遠回りをして、夜風の中を歩く。
 
冷たい空気が頬に触れる。
 
さっきまで頭の中で渦巻いていた数字や言葉が、少しずつ遠のいていく。
 
少し考えすぎていたのかもしれない。
 
未来はまだ来ていない。
 
来ていないものに、今の自分が押しつぶされる必要はない。
 
深呼吸をひとつ。
 
明日のことは、明日の自分が考えればいい。
 
夜風が、少しだけ頭を冷ましてくれた。