ちょうど一年前のこの時期は、入試だった。
その日の朝の空気はやけに冷たくて、会場までの道のりがいつもより長く感じた。
緊張はしていた。
心臓は落ち着かないし、指先はずっと冷たい。
それでも、不思議と自信はあった。
あれだけやったんだから大丈夫だ、と何度も自分に言い聞かせていた。
試験開始前、深呼吸を何回も繰り返した。
吸って、吐いて、また吸って。
落ち着けと言いながら、手汗は止まらない。
握っていたカイロがじんわり湿るほどだった。
怖かった。
でも、逃げなかった。
あの時間の自分は、間違いなく本気だった。
その努力があるから、今の人生がある。
あの数ヶ月の積み重ねが、今の毎日につながっている。
今「楽しい」と思えているのは、過去の自分が踏ん張ってくれたからだ。
ふと思う。
一年前のあの日の自分に、今の自分を見せたらどう思うだろう。
胸を張って「悪くないよ」と言えるだろうか。
それとも、もっとやれるだろって笑われるだろうか。
少なくとも、あのときの自分にだけは、がっかりされたくない。
だから今日も、自分で選んだ一日をちゃんと生きていこうと思う。