掻く・掻く・掻く | フィラデルフィア ICM 便り

フィラデルフィア ICM 便り

ソーシャルワーカーの見たアメリカ底辺事情

今日も痒い話に。


今日、主治医に連れて行ったクライアント。ここ当分、上半身にいっぱい発疹が出来ていて、「これは怪しい」と思ってたのです。


医者を待つ間も掻くわ、掻くわ、掻くわで、こっちも痒くなってきてねー。


しかもですよ、この人、やおら着ていたフード付きプルオーバーのフードをひっくり返してしげしげとチェックしてから、「ほらっ、ムシがおるっていうたやろっ」て言って見せたのは、フード内側にひっついてる小さなムシ。他にも何匹か辺りに。ひえー叫び


こんなんがどうやら服を這っているらしい。何とか本人にムシをガーゼの上にキープさせて、後に医者と「なんだ、これは」と検討したんだけど、ムシの種類がどうも確定できない。その間も本人は

掻く、掻く、掻く・・・ガーン


医者は駆除用の薬剤シャンプーを処方して、本人には服もベッドシーツも何も全部、熱湯で洗濯して、本人もシャワーを毎日、するように指示したんだけど、どうなるか。


クライアントはきっぱりと「違うんです、センセイ。このムシの被害ね、ある女がワタシのベッドにムシの袋を持ってきて、ムシをぶっちゃけたせいなんです。あいつのせいなんや!」


医者は「はっはてなマーク」一瞬、それは何てことと思ったようですが、これはクライアントの妄想なんですよー。この人は周りの者が自分の服を盗んでるとかの妄想が強い人で、何人かは魔法を使って意地悪をしてるなんてことも文句を言ってる人なの。


この時はタイミングを狙って、本人の妄想による感情がヒートアップする前に、さり気なく現問題解決(ムシの)の方に意識を向けさせました。こういうメンタルイルネスゆえの怒りや何かへの固執などに陥りやすいクライアント達の意識をちがう方向に向けさせるRedirectionはクライシス回避にも大事です。これも楽じゃないのですよー。


ま、今日はとりあえず、この人がこれ以上頭をはたいて、体を掻いて、服をパタパタ振って、ムシをあちこちに撒き散らす前に終了して、大急ぎでホームに連れて帰りました。


こっちまで痒く感じてきて、家に帰ってもパラノイアだったわ。


フィラデルフィア ICM 便り-CAM00435.jpg

ダウンタウンの市役所の辺りにある教会。冬のみ、夜間シェルター(よくカフェと呼ばれている)が開かれてます。今年は4月16日でカフェは閉める模様。その後は、利用していたホームレスの皆さんは、駅のコンコースなどへ、三々五々、散っていくわけです。