一瞬のココロの出会い | フィラデルフィア ICM 便り

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ソーシャルワーカーの見たアメリカ底辺事情

今日はよくお邪魔してるSilk Cityへ晩御飯に行って、ちょっと面白い、そして元気をもらったカップルに遭遇しました。


いつものようにバーのカウンターに席を取ったんですが、その時に隣に座っていたカップル。両方ともからりとよくしゃべる漫才みたいな人達だなぁと何となく見ていたんです。ダンナと私が「そろそろお勘定を」と言っていた時に、女性の方が私の飲んでいたビールのことをいきなり聞いてきたのがきっかけでおしゃべりを始めました。品がめちゃくちゃ良いとはいえないけど、何だか正直で裏表のない、ほの暖かい雰囲気が様子と喋りから伝わるふたり。男性の方は大阪吉本のノリのアホなジョークの飛ばしまくり、でもイヤみがない。


そんな彼のジョークをうちのダンナに任せてる間に彼女が話し始めた物語は期待してなかったものでした。


現在はフィラにある大きな病院のひとつで経理をしているという彼女。ドラッグに溺れて、ホームレスを7年くらい、刑務所にも4年ほど入っていた過去があると言うのです。


ドラッグはどういう精神状態だったのかは分かりませんが、精神不安定で「声」を聞いたりしていた時に手を出したのが中毒に陥ったきっかけとか。10代だったそうです。その後は坂道を転げ落ちるようにドラッグ中毒、ホームレス、傷害事件、投獄、またホームレス、入院というサイクルで、どん底の状態だったそう。


彼女曰く「最後に病院から退院したあと、しばらくしてから突然、光が降りてきたように自分のしていることが見えて、もうやめようと決心した」のが更正のきっかけだったようです。「そんなふうに言ったら変に聞えるでしょ」と彼女は笑ったけど、その時、何かが彼女に触れたように感じたようでした。


その後は、更正に真剣に取り組み、職業訓練校にも行って、病院経理を学んだんだそう。

病院の面接にはおよそ、面接に合わない、ほころびて古びた普段着を、それしかないので着ていき、緊張して、いささかトラブルにも合いながら面接を終了。それが思いがけず採用になって、今に至るというのです。病院経理を始めて7年になるとか。


7才と17才のお母さんの彼女は39才。今では家も持ってローンを払いつつ、次の目標を立ててる彼女はソーシャルワークを考えていると語ってくれました。7才の子供が後、数年で手が離れるようになるし、恐らく家のローンもあと7年から10年で払い終わるから、次の目標に取り掛かれ。デスクワークは自分向きじゃないし、自分の過去の経験から人を助けてあげる仕事をしたいから、準備をしたいと。彼女、刑務所に自分の経験を受刑者に話しに行ったことも何度もあるようです。


彼女の話は私がICMをしていると知って、ソーシャルワークかメンタル・イルネスを学ぶのはどこが一番いいかと聞いてきたのがきっかけです。


「私、こんな話を誰にでもするんじゃないんだけど」と言っていた彼女は自分をよく知った、信念に満ちた人のようでした。実は頭の鋭い女性だという印象を受けました。一緒にいるひょうきんな彼とはドラッグを断ち切った頃からの付き合いのようです。彼もリカバリーの人。彼女をずっと支えてきたようです。


話し振りとその内容から、その場限りのウソの話をしているのではないと感じるものでした。

実はウチはここ数週間ちょいと大問題が起こっていて、ダンナと二人して鬱気味な毎日だったのですが、彼女の物語とこのカップルの暖かいポジティブなオーラに目を開かされた気持ちになりました。


私はこういう思いがけない時はナニかがピンとヒントをくれるメッセンジャーを送ってくれたと信じる性質です。「なにソレ。アホちゃう」と言われる方も多いでしょうが。

彼女、精神科医にでもなって、人を助けてあげたいわと言ってましたが、彼女ならきっと出来るでしょうね。


またどこかで遭えるかもしれません。



雪の金曜の夜のダウンタウンの一角

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