『逆説の日本史』シリーズの著者である井沢元彦。



著者は「史料至上主義」に陥って、「歴史の宗教的・呪術的側面の無視または軽視」する日本の歴史学者の姿勢を批判してきた。


特に「言霊」に強いこだわりがあり、この本の前身にあたる『言霊一なぜ日本に本当の自由がないのか』を1991年に著している。


この本は、2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故をきっかけに著された。


著者は、福島原発事故は未然に防げたのではないかと確信している。


それは、人間の作ったものに「絶対安全」などありえないのに、リスクを想定すると、それが起こってしまうという禁忌を畏れる「言霊」の弊害にとらわれてきたのに起因していると断ずる。


「言霊という迷信からの脱却」ができなければ、「福島原発事故のようなことは必ず将来また起こりうるでしょう」という。


なぜなら、日本の歴史を眺めれば、言葉の弊害が起こした大災害(人災も含む)は福島原発事故が初めてではないと、太平洋戦争、そして平安時代まで遡って言及する。


そして、現代の憲法・自衛隊の問題についても、分かりやすいたとえ話を使って、理解・判断を容易にしてくれる。