下重曉子の『個独という生き方』を読んだ。


子供の頃、NHKのアナウンサーだった著者をよく見ていたが、その後フリーになってからは、勉学やクラブ活動に忙しくて、あまり見ることがなかったので、人となりをよく知らなかった。


二部構成の第一章で、自分の生い立ちと現在の自分の「個」について述べ、第二章で「私の個を育てた47人」と題し、個性的な47人の錚々たる著名人たちとの出会いと交流について語る。


第一章では、活字の世界を志していたが、就職難でNHKにアナウンサーとして入局した。最初に配属された名古屋放送局では、俳優志望だった野際陽子と一緒になり、親しく交流したこと。


第二章で登場するのは、渥美清、淡谷のり子、永六輔、大島渚、小沢昭一、瀬戸内寂聴、立川談志、田中角栄、ドナルド・キーン、野際陽子、三國蓮太郎、棟方志功、山口淑子、和田誠など、凄すぎる。


この中で印象に残った言葉を三つあげると、

1. 小林ハル(瞽女)

「いい人と歩けばまつり、悪い人と歩けば修業」


2. 瀬戸内寂聴

「私は人から愛することには鈍感で、人を愛することには臆病だった。そんな不真面目さに気づかせてくれたのが寂聴さんだった」


3.野坂昭之

文芸誌で対談した際、真面目に諭された。

「君は僕の本を何冊読んできたか?僕なら相手の本は全部読んでいく・・・」