年末年始連休中に何冊か本を読んだ。そのうちの一つが瀬戸内寂聴の「いのち」。以前、BSプレミアムで、後に「いのち」と改題される闘病記を執筆中の寂聴を密着取材した番組を放映していたので、是非読んでみたいと思っていた。


話は、寂聴が胆のうガンの手術から帰るところから始まる。私も昨年腎臓ガンに冒されて手術を受けたので、引き込まれるようにして読んだ。

できれば嫌な経験などせずに、安らかに人生を送れればいいのだろうが、嫌なことの苦しみを乗り越えてこそ人生観が広がるというのは皮肉なものだ。


話は、その後、ライバルの河野多恵子、大庭みな子との思い出を中心に展開されるが、90歳を過ぎて、衰えを感じつつも、新しい小説を書いていこうとする意欲に驚嘆し、大いに刺激を受けた。


「いのち」を読んだ後、ドナルド・キーンや伊藤比呂美との対談本も立て続けに読んだ。