同格のthat SVというものがあります。一般的には,
名詞+that SV
という語順で,
that以下という+名詞
といった意味になります。最初に今の私の理解を書いておくと,"that SV"にはそもそも「~ということ」といった意味があります。
A)I know that he is married.:彼が結婚しているということを知っている。
の"that he is married"がそうです。ですが,「こと」は「こと」でも,それが「事実」か「噂」かでは大きな違いです。そこで,「こと」に当たる名詞を that の前に追加(“名詞+that SV”)したのが,同格のthat SVではないか,と考えています。上のAの文を例に取れば,これを,
B-1)I know the fact that he is married.:彼が結婚しているという事実を知っている。
B-2)I know the rumor that he is married.:彼が結婚しているという噂を知っている。
とすることができるということです。
(おそらく)こういう事情なので,that SVの前にセットできる名詞は「~ということ」の言い換えにあたる名詞(おそらく抽象名詞)に限られ,「旅館」や「本」,「番組」のような「もの」にあたる名詞を追加することはできません。
ですが,「という」という日本語がクセモノで,「漱石が作品を書いたという旅館」のつもりでつい,
“a Japanese inn that Soseki wrote a novel(×)”
のような英語を作ってしまいがちです。
そこで,今回は,「『という』の"that SV"をセットしたくなるけど,セットできない名詞」を調べてみました。リストアップしてみると,何か共通点が見えてくるかもしれません。
<同格の that SV を続けられない名詞>
□tendency(傾向)
※「~する傾向」は"a tendency to R"
□right(権利)
※「~する権利」は"a right to R"だろう。だが,"a right of ~ing"もあるらしい。
□chance(機会) ←「可能性」という意味ならthat SVセット可。
※「~する機会」なら,"a chance to R"。
□opportunity(機会)
※「~する機会」なら,"an opportunity to R"や"an opportunity of ~ing"
□custom(慣習・習慣)
※「~する慣習」なら,"the custom of ~ing"
※「(Aが)~するのが慣習だ」なら,"It is the custom (for A) to R"
□habit(習慣)
※「~する習慣がある」なら,"S is in the habit of ~ing"
※「~することにしている」なら,"S make a habit of ~ing"
□experience(経験)
※「~した経験」なら"an experience of ~ing"
□memory(記憶)
※「~した記憶」なら"a memory of ~ing"
□scene(光景)
※「Aが~する光景」なら,"a scene of A('s) ~ing"かな。
□sight(光景)
※「Aが~する光景」なら,"a sight of A('s) ~ing"かな。
□image(イメージ)
※「AがBだというイメージ」で,"an image of A as B"は見つかった。
「Aが~するイメージ」も of を使って,"an image of A('s) ~ing"なのかな。
□picture(写真)
※「Aが~する写真」は"a picture of A('s) ~ing"。
だが,"a picture in which SV"も通じそうな気がする。
□situation(状況・立場)
※「SVする(という)状況」なら,"a situation where SV"が近いのかな。
□conditions(状況) ←「条件」ならthat SVをセットできる。
※「SVする(という)状況」は"conditions where SV"が近いのかな。
□case(場合)
※「SVする(という)場合」なら,"a case where SV"や"a case in which SV"だろう。
□instance(例)
※「SVする(という)例」なら,"an instance in wihch SV"かと思ったが,
その他,"an instance where SV"や"an instance when SV"もあるようだ。
"example"も同じなのだろうか。
□story(物語)
※「SVというお話」なら,"a story in which SV"を使ってしまいそうだ。
□article(記事)
※「SVという記事」なら,"an article saying that SV"をよく見かける気がする。
□letter(手紙)
※「SVという手紙」なら,"a letter saying that SV"を見かける気がする。
□newspaper(新聞)
※「SVという新聞」なら,"a newspaper saying that SV"だろうか。
□respect(点)
※「SVするという点で」なら,"in that SV"だろう。
※「SVする点(で)」なら,"(in) the way SV"かな。
□character(性格)
※「SはVするという性格だ」は,"S's character is such that SV."という言い回しがあるそうだ。
なお,同格のthat SVをセットできる代表的な名詞は,
A)事実(+情報・証拠・可能性)シリーズ
fact(事実)
information(情報)/news(知らせ)/rumor(噂)/message(伝言)/result(結果)/sense(意味)
evidence(証拠)/proof(証拠)
chance(可能性)/likelihood(可能性)/possibility(可能性)/probability(可能性)
hope(見込み)/certainty(確実性)/condition(条件)/assumption(前提)
B)意見(+思考・発言・認識)シリーズ
opinion(意見)
idea(考え)/thought(考え)/view(意見)/belief(信念)/
theory(説)/decision(決心)/conclusion(結論)/principle(主義)
argument(主張)/claim(主張)/proposal(提案)/promise(約束)
/demand(要求)/statement(言葉)/criticism(批判)
feeling(気持ち)/impression(印象)/knowledge(知識)
/suspicion(疑い)/doubt(疑い)/question(疑問)/supposition(想定)
あたりが確認できたものです。(criticismは以前の書籍には同格のthat SVは取らないとあったのですが,「ウィズダム英和」にはthat節を取ると明記されていたので,最近は使えるようです)