木挽町芝居小屋の裏通りで、白皙の美少年・菊之助が、父の仇・作兵衛に仇討を成し遂げた。
芝居小屋から漏れ聞こえる三味線の音、雪あかりの中、宙に舞う赤い振袖、菊之助の白装束、それを赤く染める返り血、掲げられた仇の首・・・
まるで芝居の一幕のような仇討。
木戸芸者、立師、女形、小道具の夫婦、筋書。それぞれから見た仇討の顛末、それと共に語られるそれぞれの来し方、生き様。
そして「あだ討ち」の真相が明らかになる。
ストーリー自体は単純で、真相も「でしょうね」という感じだったけれど、登場人物ひとりひとりがみんなとても魅力的に描かれていて、惹き込まれてしまった。
どん底を知り、そこから救われて今があることを身に染みて知っている者たちだからこその情の深さ。
久々に一気読みしたかも。
時代小説はあまり読んでこなかったけれど、この作者の作品なら読めそう。
唯一、あだ討ちの真相を探る総一郎の影が薄すぎるけど、聞き役だからそれでいいのか・・・