母の営む助産院で日常的にお産に接して育った卓巳。
卓巳と不倫関係にあるコスプレ好きの主婦。
卓巳に恋する七菜。
友人の良太とあくつ。
視点をかえた短編からなる小説だが
それぞれに重いテーマを抱えていてなかなかハードだった。
読み手によって感じるところは全く違うと思う。
中でも「セイタカアワダチソウの空」はやるせなかった。
日本に貧富の差がないなんてただの幻想だ。
「ない」のではなく「見えていない」「見ない」だけ。
しれっとすみわけられていて
違う層の人間とほぼ関わることがないように社会は出来ている。
その点、あくつと良太がバイト先で田岡さんと出会ったのは
ラッキーだった。現状から抜け出す方法があるかも、という一筋の光を教えてもらえた。結局、その田岡さんもいなくなってしまうわけだけど・・・
本当にもう、これでもかこれでもかというくらい
貧困の沼が足をひっぱって、這い上がるのを邪魔する。
胸が痛くなる。
でも「かわいそう」というのも違うし
何が幸せかなんて人それぞれで、他人が押し付けるものではないし
ひとりひとりが納得いく生き方をするしかない。
ただ言えることは、いま属している層から出るには並々ならぬ努力と覚悟が必要だということだ。