『ナオミとカナコ』 奥田英朗 | ふぁいのだらだらな日々

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百貨店の外商部で働くキャリアウーマンの直美と
専業主婦の加奈子。

加奈子が夫からひどいDVを受けていると知り
直美は、加奈子の夫の殺人計画を立て始める。
あきらめきっていた加奈子も徐々に乗り気になっていく・・・


前半は直美目線で語られる。

バリバリ仕事をこなしながら、
本当にやりたい仕事に就けないもやもやを抱えている直美は
この殺人計画いや「排除計画」にのめりこんでいく。

下見をしたり、当日の行動のシミュレーションをしたり
必要なものを買い揃えたり。
まるで旅行の計画でも立てているかのように
わくわくとした高揚感に突き動かされて
殺人計画が練られていく。

そして、普通真っ先に考えるんじゃないか?と思うような
アリバイ作りとか防犯カメラ対策とか
そういうことにほとんど気を配っていない。

その緻密なようで無防備な二人の行動に
私も共犯者のような気分になってドキドキハラハラさせられた。


後半、つまり計画遂行後は、加奈子目線で語られる。

DV夫からはどうあがいても逃げることは無理だ、と
ひたすら耐えるだけだった加奈子だが
直美の存在に力を得て、前に進もうと強く思い始める。

後半になると、怯える直美と対照的に、加奈子の方は完全に腹をくくっており
前半と立ち位置が逆転しているのがおもしろい。

ただただ二人の前途が明るいものとなるように、と願いながら
一気読みした。おもしろかった。