ブラック・スワン | Kojiのブログ

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久々の日記です。


映画『ブラックスワン』を観てきました。


ナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を獲った作品ですね。大幅に減量し、作品中のバレエも彼女自身が踊ったとか。実はいくつかのシーンは吹き替えだそうですが。まあ、さすがにどのへんが吹き替えだったかはなんとなくわかりましたね。でも、幼少からバレエのトレーニングを続けて来たとはいえ、あれだけの踊りをこなすのは大変な事。なかなか巧いと思いました。スゴい事だと思います。そしてサスペンスの中の迫真の演技。



教師としてダンスクラスを指導していて、時々話すのですが、どんなに身体能力や運動神経が素晴らしく、スポーツ万能な人間でも、ダンスだけはいきなり踊るのは不可能です。特にバレエは初めて1年やそこらで、プロの目から見ても「うん、踊れてるね」というレベルに達するという事は絶対にあり得ません。断言できます。


それはバレエのトレーニングが非常に不自然な型で身体をいじめ抜くものであり、様々な相反する要素を身体に要求し、さらにその動きを呼吸のように自然に行えるようになるのに長い年月に及ぶ修練と身体に対する厳しい規律を必要とするからでしょう。そしてそれらを無視して踊ろうとすれば、確実に怪我をします。


映画自体の内容は「。。。。」でしたが。自分がダンサーだった(すでに過去形か?)せいか、ダンスを主題にした映画はナゼこんなに陳腐なものばかりなのだろう。と思ってしまうのです。ダンスのレベルの話ではなくてストーリーとかですよ。でもまあ、これはまだ「センター・ステージ」とか、「セーブ・ザ・ラスト・ダンス」とかに比べればまだいい方かも。


露骨な競争の世界。芸術監督からのセクハラやパワハラ。ステージママ。ライバル。まあ、お約束ですね。セクシャルな部分とか、ホラーな部分はもうちょっと踏み込んだ形でした。


自分のカンパニー時代の経験と照らし合わせてみると。う~ん。チョット大げさすぎる感じですね。やっぱり映画だからね。


自分は個人的に、演じるのにいろいろな経験や想像力は必要だとは思うものの、別にダンサーがセックスしたからって役作りができるようになったり、成長するとはゼンッゼン思わないけど。人殺しの役を演じるのに、役作りのためにちょっと人殺してきます。って言ってるようなもんだから。


逆にスキャンダルとかドロドロした部分は山ほどあって、コイツ消えてくれないかな。みたいなのはあったけど。


「白鳥の湖」の振付は、劇中で王子役も踊ったバンジャマン・ミルピエ。ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパル・ダンサー。ナタリー・ポートマンと結婚するそうですね。

ちなみに、実際のニューヨーク・シティ・バレエ団はもっと無機質というか、アブストラクトでシャープな作品を得意とするカンパニー。バランシン版の「白鳥の湖」もあるのですが、ここほどクラシックバレエが似合わないカンパニーもないと思います。自分の好きなバレエ団の一つですが。



自分がニューヨークでマース・カニンガムのカンパニーに入団したばかりの頃、カニンガム・スタジオにクラスを受けに来ていた元ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサーと知り合いでした。エミリーという名前でしたが、このバンジャマン・ミルピエは元カレだそうです。



ネタバレにはなってないと思うのですが。ちなみに新宿バルト9に観に行かれる方はぜひ耳栓のご用意を、予告編が始まった段階で、アホみたいな大音量のせいで頭がイタくなりました。