昨年夏に開催された橋場線開通100周年記念資料展で展示されていた大正11年7月14日の岩手日報の記事に、翌7月15日の橋場線開業に合わせたダイヤが載っていましたので、時刻表をつくってみました。
<1>定期列車について
・新聞は大釜16:46発下り列車との記載ですが、小岩井着と同時刻のため誤りであると判断し、大正14年4月の時刻を参考に、16:35発としております。
・新聞は雫石7:10発上り列車との記載ですが、他列車と比べて停車時間が長すぎること及び小岩井着が7:12であることから誤りであると判断し、大正14年4月の時刻を参考に、7:01発に訂正しております。
<2>臨時列車について
・臨時は橋場駅開業日のみ運行された列車です。
・新聞には臨時列車雫石9:52発とありますが、上り下りの記載がありませんでした。下りだと橋場9:40発の列車と交換できないこと、上りだとそれを引っ張る機関車がないこと、雫石駅構内での開通式が10時からだったことから、これは雫石9:52着の上り列車ではないかと推定しております。
・雫石発12時10分の上り列車は開業翌日の記事より引用しております。
・上記より臨時列車は仙台から回送してきた1編成によって、盛岡8:30発→橋場9:22着(開業イベント)橋場9:42発→雫石9:52着(開通式・祝賀会)雫石12:10発→盛岡12:45頃着で運行されたと考えるのが自然であると考えられます。
<3>考察
貨車が連結された混合列車と客車だけの列車と2種類運行されていて、各駅の停車時間は混合列車でも2~3分程度でした。
途中駅での荷物の積み下ろしにそれほど時間をとっていないことが意外でした。
余裕時分がありそうなダイヤなので、多少出発が遅れても他列車のダイヤに影響がなかったと思われることから、荷物が多いときは予定より遅れて発車することもあったのだろうと考えられます。
大正14年4月の時刻表では4列車が橋場11:00発→盛岡11:52着となっています。
開業日の所要時間43分から52分と9分増。
他の列車は同時刻で運行。
4列車だけ所要時間が伸びた理由が気になります。
新聞記事の間違った時刻の掲載により、例えば盛岡に行こうと7:10発に間に合うように雫石駅に行ったら、すでに列車は発車した後だったということもあったんじゃないかなあと思います(笑)。
間違い等があればご指摘いただければ幸いです。
過去記事はこちら
①橋場駅遺構(2016年12月12日)
②橋場線のダイヤを調べる(2017年01月16日)
③橋場駅構内図(2017年04月07日)
④橋場駅の建物推測(2020年12月11日)
⑤当時の新聞記事からの国鉄橋場線橋場駅開業時の様子(2021年2月26日)
⑥戦前の橋場線を利用した一番の大物は誰?(2022年4月2日)
⑦橋場線開通100周年記念資料展 ~幻の橋場駅に想いをはせて~(2022年8月15日)