友人にいま、苦境に立たされている者がいる。
そういう状況におちいるおそれのある者、つまり人類全員がそうであるように、彼には落ち度があった。
あんな行動とらなければ、ああならないのに。
たやすく挙げることのできる失敗が、はっきりと存在した。
それを自覚しているからこそ、よけいに苦境の深いほうへ追いやられてしまっているんじゃないかと、
連絡のとることのできなくなった彼の心情を勝手に想像する。
「でもあれですよね」
共通の友人は口にする。
「自分がああいう状況になったら、自殺しますよ」
きっと、言葉の選択を、あやまった。
苦境の彼の心情を思うと、それほどつらかろうという意味で、
それならばそのまま口に出せばよかったのだ。
なのに言葉は時として勝手に裏返る。
またひとつ、遣ってはいけない言葉を憶えた。それを心にとどめておこう。
そうでなければ、その言葉は、追い詰められた人に「死ね」と言ってしまう。