たまには薬剤師らしい話し聞きたいですね・・・と言われましたので、「薬」について、ちょっとお話しします。
ある日、ある人が、
「この薬はどうして食事の前に飲むんだろう?」
と言いました。近くにいた人(やはり糖尿病で同じ薬を服用する人・・・)が言いました。
「薬の袋に毎食直前服用って書いてあるからだよ、今更何いってんの?」
「・・・・・・」
この薬はボグリボースやアカルボース、ミグリトールのことです。最近は、院外処方せんの表記が一般名でもO.K.となりましたから、これでわかる方も多いかもしれません。
この「一般名表記で記載されること」は、薬剤師にとっては大きな意味を持ちます。
医師にとってはどうなのでしょう・・・。
わかりませんが、その表記を用いることで、処方一回につき、医師の処方料が20円増額になるそうです。
100人分で2000円ですか・・・。
そのせいではないと思いますが、最近よく見かけます、院外処方せんの一般名表記。
また、この春から、医薬品メーカーの接待がほぼ全面的に行われなくなったようです。
これからは、「メーカーのMRが接待した途端、ある医薬品の処方頻度が増える」という特徴的な現象も、見られなくなるのでしょうか。
以前は、
同一成分の薬を2社以上のメーカーが販売していて、その
商品名が異なる場合(例えば、降圧剤のアムロジンとノルバスクなど)、
処方せんは商品名で記載するのが決まりでしたから、
処方せんに「アムロジン錠5mg」と書かれていたら、
たとえ同種同効だったとしても、薬剤師が勝手に「ノルバスク錠5mg」を患者さんに渡してはいけなかったのです。
「薬学的に同等だ」と薬剤師が認めても、
処方医が「変更してよい」と言わないかぎり、
アムロジンと書かれた処方せんで
ノルバスクを渡してはいけないのです。
販売メーカーと商品名が異なるだけで、
「薬としてのパフォーマンスが全く同じもの」
であってもだめなのです。
私は、薬剤師になってから、ずっとこの不合理に疑問を感じていました。
もちろん、そんなことは諸外国ではあり得ませんでしたから。
私の妻は外国人ですが、
結婚当時、この話をしたとき、
(あり得ない話だったせいか)
私が何を言いたいのかを理解してもらうのに
難渋したことを憶えています。
もともと、日本では、
「薬は医者からもらうもの」でした。
でも、
日本が医療の手本にしたと言われるドイツでも、
医学雑誌では世界的権威のあるものが目白押しのイギリスでも、
医療先進国のアメリカでも、
「薬は医師が患者に渡してはいけない」のです。
それは、
「毒殺を恐れた時の支配者が、【疾病を診断する者】と【薬を扱う者】とを互いに独立の存在にさせた」と薬学生の時、薬学史で学びました。
Wikipediaを覗いてみましたら、
医薬分業の発祥の地である西洋では、国王などの権力者などが、陰謀に加担する医師によって毒殺されることを防ぐために、病気を診察するあるいは死亡診断書を書く者(医師)と薬を厳しく管理する者(薬剤師)をわけていたことに由来する。
医師と薬剤師の役割をわけることで、不適切薬を排除、過剰投薬等を抑制、二重チェック等の実施で薬物治療が社会と個人にとってより有益になるようにしたのがこの医薬分業の仕組みである。
医薬分業制度により、欧州の薬剤師は、医薬品の独占的な販売権や調剤権を国家から認められることと引き換えに、
- いつでも、どこでも必要な薬を安定的に国民に供給する責任。
- 薬の副作用、相互作用、過剰投与などの危険から国民を保護。
- 薬についての完全な把握。
- 薬の厳格な管理。
- よりよい薬の研究、開発、製造。
- にせ薬の排除。
- 規格書(薬局方)の作成と開示。
- 価格の不当な高騰の抑制。
などの役割を果たしてきた。
さて、ここでようやく、処方せんの一般名表記が認められるようになって、日本の薬剤師も欧米諸国の薬剤師に少し、近づくことができそうです。
薬の成分表記(商品名表記ではなく一般名表記ということ)によって、先ほどのアムロジンとノルバスクのような問題は起こりえなくなったのです。
というのは、過去あり得なかったことですが、アムロジンにするかノルバスクにするか薬剤師が決めてよいのです。
つまり、一般名アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine besilate)で書かれていて、 さらに患者さんの意向があれば、ジェネリック医薬品を選んであげてもよいのです(ジェネリック変更不可の医師の署名がない場合に限る)。患者さんの意向も考慮できるようになったのです。わずかですが、自由度が増したのです。
ささやかな、職権の向上ですね(笑)。
先日、私の友人があるクリニックで診察を受け、薬をもらってきました。
そこでは、院外処方せんが発行されずに、クリニック内の「薬局」とかかれた窓口から、若い女性が薬を手渡してくれるのだそうです。
私の友人は、通常、
院外処方せんで、
町のかかりつけの薬局で、
薬剤師からもらってきても、
私に連絡をよこして、
私に薬の説明をさせる強者(つわもの)です。
習慣として、調剤薬局のお薬情報ももらって、
薬剤師による「通常服用の薬」と「新しく処方された薬」との、相互作用のチェックもしてもらっているのにです。
その友人が、私に言うのです。
・・・そのクリニックでは医師が「くすりを出しておきますから、それを飲んで様子を見てください」と言って診察が終わった。
待合室で待っていると、名前を呼ばれる。
その窓口に行くと、
薬剤師なのか、
病院のスタッフなのかわからない女性が、
「風邪のお薬ですね。おくすりの袋に書いてあるようにきちんと飲んでくださいね。お大事に。」
と言って、すっと薬の袋を三つ渡された。
「風邪薬を飲むときは、その内容に注意せよ」とおまえにいつも言われてたから、
持病があることをその女性にに告げると、
「診察の時に先生にそれをお伝えしましたか?(おかしな言い回し・・・お伝えいただきましたか?とかじゃないの?)
「はい、一応ね」
「だったら、大丈夫ですから、きちんと飲んでくださいね」
「あの・・、私は緑内障と前立腺肥大で薬を使ってるんですけど、抗ヒスタミン剤はでてないですよね。それから、便秘で酸化マグネシウムも一日三回飲んでるんですけど。」
「先生に話したなら大丈夫ですから・・・。はい、お大事にどうぞ。」
この友人は、以前に風邪薬のPL顆粒と抗ヒスタミン剤で
眼圧上昇、尿閉が起こったことがあるので、「風邪で医者にかかるときや売薬で総合感冒薬を買って飲むようなときは、必ず薬剤師にチェックしてもらうように」と、くどいくらいに言っていたので、それに従って薬を受け取るときに、相談確認をしようとしたのだろう。
結論から言うと、案の定、PL顆粒、抗ヒスタミン剤、セフェム系抗生物質、その他が処方されていた。
PL顆粒、抗ヒスタミン剤は服用をやめ、セフェム系抗生物質は酸化マグネシウムと2時間以上あけてからの服用とすべきことを伝えた。
酸化マグネシウムとその抗生物質は同時服用で作用減弱する組み合わせなので、最低2時間服用のタイミングをずらすべきである。
医薬分業は、無駄であるという意見を、アメーバブログでも時々見かけます。
その理由としては、患者の負担金が調剤薬局でもらう方がいくらか高くなると言うことが真っ先に言われることが多い。
病院で出せるのに、わざわざ別の薬局で薬をもらうのは、患者の二度手間であり、薬剤師でなくても薬は渡せる・・・云々・・・医薬分業否定論。
個人的な貴重な情報を確実に得るためには、少々お金がかかるのは当たり前という価値観があるかないかで、この問題は見解が分かれてしまう。
薬剤師自身が患者さんに職能を請われるように、たゆまぬ努力をし続けることが、大前提ではあるのだが・・・。
ボグリボースやアカルボース、ミグリトールのことを話そうと思ったら、脱線(?)してしまいました。
次回は、糖尿病の方にはぜひ読んで欲しいお話を書いてみます。
ベイスンやグルコバイ、セイブルはなぜ、食事の前にのまなければならないのか?
これらの薬を飲むとおなかが張ったり、おならがでたりするのはどうしてか?
これらは、食事をしないときでも服用しなければならないのか?
それらをわかりやすくお話しします。
読んでいただければ、次のことが可能になるはずです。
☞これらの薬を飲み忘れる頻度は確実に減ります。
☞HbA1cがきっと下がります。
☞大血管障害を起こすリスクが低下します。
☞DPP-4阻害薬の効果が上がることを実感できます。
今まで、このブログで「からだ」のこと、特に消化吸収に関して理解してくださった方は、一層、上記の理解が深まります。特売!!手前味噌大売り出し!!笑笑。
今日も明日も佳き日でありますように。
またお会いできてうれしさいっぱいです。