私の糖尿病に関する考え方を根底からひっくり返した研究結果がこれです。
2011年7月5日(日経新聞)/
東京大・宮崎徹教授のプレスリリースです。
宮崎教授が発見したAIM(白血球が分泌するタンパク質のひとつです)がしでかす内容なのですが・・・
「肥満がある程度進行すると、脂肪組織に多数の免疫細胞(特にマクロファージ)が集まってきて、持続的な炎症を起こして、インスリン抵抗性を高め、2型糖尿病や動脈硬化になる」
どういうことかというと、例によって簡単にざっくり。
AIMというタンパク質が、
脂肪細胞(余ったエネルギー源を中性脂肪というかたちにしてどんどん蓄えることができる。飢餓の危機に曝されていたときに進化したと想像できる細胞。現在は肥満の元凶として多くの女性から憎まれるかわいそうな扱いを受ける細胞)の中の「脂肪」分解をどんどん進める。
その分解の度合いがあまりに大だと、中性脂肪が分解されて脂肪酸が遊離するのも大となり、これが問題のできごとになる神秘。
この脂肪酸に刺激をされて、ある器官(脂肪細胞の表面に存在するToll様受容体)が、ある物質を創り出す引き金になる。
その創り出されるある物質というのが、タンパク質の一種(液性タンパク質ケモカインという)。
このケモカインという奴が、なんと、なんとマクロファージに招集をかけるのだ!
ここで、もう一度整理すると、
肥満状態で、脂肪細胞にどんどん中性脂肪が貯め込まれると、AIMというタンパク質がでて、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンとに分解。
脂肪酸の濃度が大きくなると、Toll様受容体が刺激され、ケモカインの産生を促す。そのケモカインがマクロファージをその脂肪細胞に招集をかける。
それからが、神の神業。
マクロファージがその脂肪細胞に入り込み、サイトカイン(悪い方)が発生。つまりこれは炎症性アディポカインが効いてくることになり・・・・、そうです、脂肪細胞の慢性炎症状態の始まりです。
脂肪細胞が慢性炎症状態ということは、インスリンが近寄っていくら誘惑しても、血液中の中性脂肪は取り込まれない・・・つまりその前のエネルギー物質=血糖(ブドウ糖)は血液中から減らない・・・。
これは何だかわかりますか?そうです、私が2型糖尿病の最大の原因と叫び続けている悪者キング「インスリン抵抗性」そのものですね。
この事実が解明されたとき、私は雷に打たれたような衝撃でした(・・雷に打たれたことはないですけど。私は前橋で生まれて、高校生まで過ごしたので、雷の怖さは、結構知ってるんです・・・)
この日以来、糖尿病の根治を目指すことにしたのです。
最大の敵は「インスリン抵抗性とそれが発生する環境」。
もうひとつの悪者キング・・・
「糖化反応」です。
これは、このブログでもあまり話してませんが、合併症をどんどん発生させる、やりたい放題やってくれる、とんでもない奴です。
タンパク質や脂質が単糖(ブドウ糖や果糖などなど)と酵素なしにどんどん反応してAGEsというやっかいな物質を造り出す反応です。
機会があったら、この辺説明します。まずは結果だけ聞いといてください。
神経細胞やコラーゲン層、DNAなどダメージを受けます。
さらに、目の網膜細胞や腎臓の糸球体、膵臓のランゲルハンス島β細胞(インスリンが出てくるところ)なんかもダメージをガンガン受けるわけですよ。
血管にいたっては悲惨です。血管の上皮細胞は、ダイレクトに糖化され(傷ついて)てしまう。
血流が多いところ、たとえば冠動脈の始まるところ(心臓の動脈の始めのところ・・・)にはアテローム(動脈硬化の一種)ができやすくなる、その原因。
小難しい話が続いてしまいましたが、私を変えた出来事だったんです。
それまでは、糖尿病治療=HbA1cコントロール の一辺倒。一にも二にもHbA1c。
したがって、カロリー制限と厳しい運動、そして3,4種類の糖尿病の飲み薬と、場合によってはインスリン。
それで、がっちがっちにやれば大丈夫。
大丈夫というのは、患者さんはそれの奴隷として生きていけば何とか合併症も起こらない、何とか平均寿命まで生きるんじゃないですか・・・、自業自得なのだから、耐えなさい・・、そういうアプローチのみだったのです。
今は、タンパク糖化の産物AGEsについての研究も進み、AGE受容体もどんどん明らかにされ、抗AGE抗体によって、AGE修飾タンパクが糖尿病性血管合併症、動脈硬化、アルツハイマー病など、多くの疾患病変部大いに関係していることがわかってきています。
つまり、免疫学的解明です。
私が言い続けている、
「糖尿病とは一生つきあってくつもり、なんて言わないでください。一生つきあってくのはあなたの『からだ』ですから。糖尿病とのつきあい方が、HbA1cや血糖値一辺倒だから、苦しいでしょ。からだを知って病を知れば百戦危うからず、です。まず、勉強しましょうよ。」は、
上記の事情を根拠に言っています。
糖尿病の元凶は『炎症』だったんですよ。
炎症にフォーカスしなきゃいけないんですよ。
内臓脂肪とインスリン抵抗性の関係も炎症だったんですよ。
今日書いたことは
私の核になる考え方です。
これをもとに養生を考えています。
これをもとに糖尿病を説明しようとしています、簡単な表現で。
今日のは、一つの文の中に専門用語が多すぎましね。
わかりにくいですね。次からもっと簡単な例を探して書きたいと思います。
今日も素敵な1日でありますように。
またお会いできたことに感謝します。